ヨーロッパ音楽旅 1 パリ 2012

目的
憧れのフランス男を追いかけて(?)

時期
2012年3月

 

旅サマリー

 

フランク・ブラレイというピアニストについては、リンク先の記事をご覧いただきたい。 

www.music-szk.com

 

どうか誤解しないで欲しいのだが、決して瞳をハートにして女子的な勢いで憧れのピアニストを追いかけたのではない。(いや、でも、ほんの少しぐらい、そんな側面があっても別にいいではないか!キモチわるいとか言わないで!)

 

このピアニストの演奏だけでなく、立ち居振る舞いから雰囲気まで、どうしようもなく憧れてしまったのだ。笑われてしまうかもしれないが、人生の先輩として参考にしたいと思った。こんな洗練された人間は絶対に日本にはいない。だから、このピアニストが生まれ育った国の文化を知りたかった。

 


B. Haitink, R. and G. Capuçon, F. Braley: Beethoven - Triple concerto

この動画の演奏をスズキは客席で聴いていた。

 

フランスにそれほど興味があったわけではない。

 

わたしはファッションには疎いし、食べ物は好きでもフランスの高級料理にはご縁がないし、アムール(愛)の国なんて言われても自分には関係ない。だが、調べてみたら、親しみさえ感じるぐらいフランスを気に入ってしまった。フランス人の生き方、価値観、働き方、こだわり、コミュニケーション、個人を尊重すること、女性の立場、何もかもが日本と正反対のように思う。日本が合わない自分は、もしかしたらフランスが合っているのかもしれないと今でも思っている。(長期滞在したことがないので、本当に合っているかどうかは未知数。)オシャレなイメージに乗せられているのではない。フランスのマイナス部分や面倒な部分も含めて何故か妙に納得できるのだ。

 

どうやら自分はフランスが嫌いではない。憧れのピアニストを育んだ国についてもっと知りたい。こうなると、もう現地に行ってみるしかない。

 

10年以上ぶりのヨーロッパ旅だったので、時間をかけて慎重に旅の準備をした。旅好きではあるが、わたしは冒険者ではない。安全に平和に旅したい。それに、音楽目的の旅なのだから、音楽鑑賞に支障が出るようなトラブルには巻き込まれたくない。

NHKラジオのフランス語講座を半年ほど聴き、別途旅行会話テキストも買って学び、パリ市内の訪問予定施設のアクセス方法や周辺地図を暗記して、2012年3月にわたしは1人でパリに向けて出発した。

なぜわざわざ暗記したかって?小心者のスズキは、地図やガイドを片手に街をウロウロしていたら、観光客狙いの犯罪に巻き込まれると思ったので、パリ在住のアジア人のふりをしたかったのだ。

 

こちらがパリでの鑑賞したメインのコンサートのプログラム。

 

2012年3月2日 サル・プレイエル

ベートーヴェン

 エグモント序曲

 三重協奏曲

 交響曲第6番「田園」

 

ヨーロッパ室内管弦楽団

指揮:ベルナルト・ハイティンク

ヴァイオリン:ルノー・カピュソン

チェロ:ゴーティエ・カピュソン

ピアノ:フランク・ブラレイ

 

ブラレイが室内楽でよく共演するカピュソン兄弟と一緒に演奏するこの公演を見つけたとき、この公演のためにならパリまで行く価値があると思った。

 

好きなピアニストの演奏を、ピアニストの出身国で、現地の聴衆と共に鑑賞する。

 

わざわざこんなに遠くまで聴きに来たという少々気恥ずかしい気持ちと、自分で計画を立てて実現できたことに対する誇らしさと、夢なのかもしれないと思ってしまうほど幸せな感覚で、わけ分からない状態だった。旧ブログでは「パリ2日目、昼は緊張しながら慣れぬ街を歩きまくって疲労、コンサートに向かう前にホテルで休憩したが顔面蒼白・・・」などと書いていた。これがわたしのヨーロッパ音楽旅での鑑賞デビュー。

 

終演後、わたしはフランス語学習の成果を発揮した。張り紙に「サイン会がある」という感じのことが書かれていた!

 

気付いてよかった。ただし、浮かれすぎて子どもっぽい態度でソリストたちと接してしまったことは失敗。ごめんなさい。わたしのプログラムにはソリスト3人のサインが書き込まれた。ブラレイとカピュソン兄弟が揃って日本で演奏することは少ないので、貴重なサインだ。

 

演奏会場のサル・プレイエルには、老舗ピアノメーカー「プレイエル」の名が付けられている。むかし、プレイエル社のサロンではショパンやリストも演奏していた。そのサロンは移転して、より大きなホール「サル・プレイエル」となった。パリを代表するクラシック音楽のホールだったのだが、2015年に別の大型クラシック音楽ホールが開業したため、サル・プレイエルはクラシック音楽以外のイベントを開催するホールとなってしまった。なんだか悲しい。わたしにとっては、この2012年の鑑賞が最初で最後のサル・プレイエルとなってしまった。

 

音楽旅において大事なこと。それは、コンサート1つだけを目的にしないこと。演奏者も人間だから、やむをえない事情で演奏をキャンセルすることがある。本当に音楽を愛しているのなら、複数のコンサートを予定に入れよう。

 

パリ旅でわたしが鑑賞したのは以下のとおり。

 

・ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」(オペラ・バスティーユ)

2012年はドビュッシー生誕150年だった。当時まだオペラ初心者だったわたしにとっては、やや難解な作品だったが、DVDで予習し、旅行時は既にかなり気に入っていた。それなのに、疲労のせいか、演出のせいか、強烈な眠気に襲われてしまい・・・

 

ちなみに演出はこちらでご覧いただけます。(眠かったのに覚えている!懐かしい!)


Pelléas et Mélisande - Directed for stage by Robert Wilson - Opéra de Paris 2012

 

・ワーグナーのオペラ「パルジファル」演奏会形式(シャンゼリゼ劇場)

当時まだオペラ初心者だったわたしにとっては、超難解な作品だったがこちらもDVDで予習し、旅行時は既にかなり気に入っていて、当日も最初から最後まで(4時間!)堪能。

それにしても、自分にとっての初ヴァーグナー鑑賞が、ヴァーグナー最後のオペラ作品だったなんて、しかも海外で鑑賞、原語はドイツ語で、字幕はフランス語(笑)

 

・オルセー美術館での室内楽 フランクの弦楽四重奏曲

 

・小さな教会でのピアノリサイタル ベートーヴェン、ショパン

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・マドレーヌ寺院でのアマチュア演奏家によるモーツァルト「レクイエム」

 

さらに、パリ国立高等音楽院の近くにある楽器博物館で、初めて見る古い楽器に興奮した。楽器は美術品のように美しい。この後の旅でもヨーロッパ各地の楽器博物館を訪れたのだが、最初に訪れたパリ旅のときが一番感動した。

ちなみに、新しい大型クラシック音楽コンサートホール「フィルハーモニー・ド・パリ」はこのエリアにある。「サル・プレイエル」があるパリ中心部からはやや遠い場所。

 

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パリ国立高等音楽院 

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初めてのヨーロッパ音楽旅としては、合格点をあげても良い充実の旅プランだった。

 

Booking.com

 

成果

一世一代の決心として、とにかく1度だけやってみようと思って実行した旅だった。それなのに、結論を言うと、やめられなくなってしまった。ヨーロッパ音楽旅という、お金のかかる世界に足を踏み入れてしまった。きっかけを与えたピアニストの罪は重い。(←おい!人のせいにするな!)

 

トラブルもなく旅を終えて帰国したので自信につながった。飛行機もホテルもコンサートチケットも簡単にインターネットで手配できることを初めて知った。

 

このときが、わたしにとっては初ヴァーグナー鑑賞だった。ヴァーグナー作曲のオペラはとてつもなく長い。内容も複雑だ。神話、宗教、哲学、生と死と愛など。はっきり言って初心者向きではない。しかも鑑賞した「パルジファル」はヴァーグナー最後のオペラであり、彼が最後に辿り着いた境地が描かれているわけで、どう考えても初心者向きではない。

 

旅だからこそ、ここで鑑賞のチャンスが訪れたのも何かの縁だから、予習して、鑑賞しようと思った。だから、ヴァーグナーの世界に入ることができた。旅は良い。わざわざ海外まで出向いたからこそ知る世界がある。

 

最後にもう1つ。

結局フランスをどう思ったか。

 

ちょっと面白いことがあった。マドレーヌ寺院でのコンサートのとき、ある男性がわたしのところに来て「もっと良い席を確保しているから、一緒に聴きませんか?」と言ってきた。さらに、シャンゼリゼ劇場でも男性が来て「わたしの隣の席に来ませんか?」と。

 

いずれも父より年上のおじさまで、こちらとしては、なぜ声をかけてもらったのかも分からず、会話が弾むとも思えず、お断りした。だって、そんな誘い方は芸がない。説得力のない誘いに乗るほどわたしは暇ではない。

 

実は似たようなことが、学生時代にフランスを旅したときも数回起こっていた。(そのときは、おじさまではない!)「一緒にドリンクでも・・・」といった感じ。

 

そりゃあ、ビックリさ。なぜなら、自他共に認めるブス女のスズキに見ず知らずの男が「一緒に・・・」などとイキナリ話しかけてくることなど、フランス以外ではありえない。

 

自分はフランスではモテるのかしら!? などと勘違いすることはない。わたしはとても冷静な人間なのだ。きっとフランスの人は少しのチャンスも無駄にせず積極的に行動するのだろう。ゲームみたいなものだ。そうすることが人生をおもしろくする。良いではないか。(それと比べると日本はつまらん国だ。)

 

日本で女扱いされるのは気持ち悪いが、フランスで女扱いされるのは嫌ではない。

 

少し考えてしまう。もっと早くフランスに興味を持って、若いときに移り住んでいたら、わたしは全く違う人生を歩んでいたかもしれない。(いや、そんなことはないよね。)

 

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