秘密のヴァイオリン特訓 2017 ー 超初心者レッスン8回の成果を報告

2017年8月、スズキ宅に新しいオモチャが届いた!

 

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来た。来た。へっへっへ。ようこそスズキの館へ。

ハーツリッヒ ヴィルコメン!(ドイツ語)

アナタ、キレイだねぇ。 

 

お値段13,500円。肩当ても購入。

 

ふふん。ヴァイオリンを入手しただけではない。

 

8月終わりから12月にかけてレッスンも受けた。最初のX回は某有名音楽教室の「有料」体験レッスン、さらにX回追加して合計8回。

結果として割高だったが、ヴァイオリンってどんな楽器か知りたいクラオタにはこれぐらいが丁度よいのでは?全8~10回程度の短期講座があれば需要あるのでは?

 

世の中のほとんどの楽器レッスンは長期的に取り組むことを前提している。楽器を一通り演奏できるようになるためには当然のことだろう。それに、指導する講師の生活を少しでも安定させるためにも、数年におよぶ長期のレッスンが「絶対」なのだろう。

 

ただ、長期前提だからこそ躊躇する人間がいるのを知っているだろうか?

 

どうせ今から全力を注いだところでわたしに弦楽器など弾きこなせるはずはない。ピアノもあるし、何かと忙しい。がんばれば誰でもできるという「宣伝文句」はわたしには通用しない。

 

それでも、弦楽器を肌で感じてみたい。そのためには、さすがに1回のみの無料体験レッスンでは物足りない。でも、長期でレッスンを受ける気もない。こうして、本当は少し興味あるのに挑戦を避けるクラオタはわたしだけではないはず。

 

どうやって短期レッスンを受けさせてもらうか。それが問題だった。個人宅でのレッスンでは絶対に嫌がられるはずだ。大手を狙うことにした。

 

この某大手教室の体験レッスンは無料1回ではなく、X回セットで有料だった。これだけで終了するとしても、あるていど費用を払っているので、罪悪感は小さい。わたしは、さらに追加で数回レッスンをプラスした。たぶんこんな変則的な短期レッスンを希望した初心者はわたしぐらいだろう。そして誰も真似しないだろう。

(でも、ひょっとしたら、ひょっとしたら、そういうレッスンを望む人が他にもいるかもしれない。そんなコースを用意して欲しいという人がいるかもしれない。)

 

こうしてわたしは、ただでさえ、生きていくのが苦しくて死にそうだった時期に、2週間に1回ヴァイオリンを背負って会社に通勤し、帰りに表参道でこっそりレッスンを受けた。家でもピアノ練習に加えてヴァイオリンも練習した。

 

なぜヴァイオリンか?

 

弦楽器をやるならヴィオラかチェロをやりたいと思っていたのだが、いざ「少しだけ体験したい」となると、もっとも省スペースで安価な楽器を選ぶのが妥当だと思った。

 

購入したのはこちらの商品(クリックで詳細表示)

(別途、肩当ても買わないと演奏できない)

 

レッスンまでの間、自分なりにインターネットで調べてヴァイオリンを整えてみた。音感の悪いスズキはなかなか調弦できない。「おかしいな」と思ってがんばってペグを回すと、ついに恐れていたことが起きた。

 

プッツン

 

弦が切れてしまった。どうしよう・・・

 

これまたネットで調べて換えの弦を張ってみた。とりあえずレッスンまではこれで我慢するしかない。

 

ヴァイオリンとピアノの大きな違いは、ヴァイオリンは自分である程度まで楽器を整備しなければいけないという点。正しい整え方を覚えなければいけない。それに、ヴァイオリンは自己流で人の真似をするだけでは演奏できるようにはならない。だから、短期レッスンが嫌がられることは承知で、何とか短期レッスンを受けたいと思った。

 

最初のレッスンでインターネット検索の限界を知った。自分で弓に松脂を塗ったのだが、塗り方が足りなかった。「たっぷり」と書かれていても、素人には「たっぷり」の度合いが分からない。

 

さらに、弓の張り方が緩すぎた。「張り過ぎず、若干緩める」と書かれていても、その程度はやはり素人には分からない。

 

わたしが自力で張った弦は、一旦は「よくできてる」と言ってもらったのだが、結局先生が張り直すことになった。

 

こんな安物の楽器を持っていくと教室で怒られるかもしれないと思ったのだが、そのようなことはなかった。(本格的に取り組む気がない生徒だからかもしれないけど。)

 

安物ゆえの難点なのか、たまたまわたしの楽器がそうだったのか、判断はできないのだが、ペグがすぐに緩んでしまうのが問題点だった。レッスン開始時に先生に調弦してもらったのに、レッスン中にもう音がずれてしまう。ただし、ペグの調子はヴァイオリン専門の店にお願いすれば、ある程度調整してもらえるとのこと。

 

ペグのせいだけではなく、やはり音感の悪いわたしは正確な音を取ることが困難だった。付属の笛(?)では心許なかったので、電子チューナーを買った。結局のところ、これがないとわたしは音を取ることができない。

 

どうやらわたしの爪はピアノにもヴァイオリンにも向いていないらしい。

 

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わたしの爪はギリギリまで切っても指先より少し長いので、ピアノの鍵盤に爪が当たってしまう。当たらないように弾くと、指の使える面積が限られてしまい、思い通りの音色を作れない。(爪の音を気にせず、カチャカチャ鳴らせながら弾くピアニストもいる。)

 

ヴァイオリンでは、わたしの爪だと安定して弦を押さえられない。指の肉の面で押さえたいのに、爪が掛かってしまうので、中途半端な押さえ方になってしまう。これはまいったな。

 

10年にわたりヴァイオリンの演奏を聴いてきたのに、こうしてレッスンを受けて初めて知ることがあった。

 

たとえば、指で弦を押さえてから弓で擦るという順番。不器用なわたしは弦を押さえるのと弓で弾くのを同時にしてしまおうとする。そうすると、フニャっと中途半端な音になってしまう。しかも、その音程がおかしいので、ついつい指を前後に少しずらして後から無理やり合わせてしまおうとする。音が何度もブレて、自分で聴いていてもキモチ悪い。

 

猛スピードで駆け巡る曲でも、ヴァイオリニストはまず弦をきちんと押さえてから次の瞬間に弓を引いていたのか。当たり前といえば当たり前なのだが、自分にはその感覚は掴めない。

 

おもしろいのは、ほんの少しペグを動かすだけで音の高さが変わること。また、音と音の間がシームレスであるのもピアノ弾きとしては新鮮。こういうことは、超初心者でも感じられる。

 

弦楽器は、触ったことがない人間にとっては少し怖い。触ってはいけないところを触ると壊れるかもしれない。「ちょっと触らせて」なんて気軽に人に言えない。だから、まったく親しみを感じられない楽器だった。

 

13,500円だろうが何だろうが、自分の楽器を持ってこそ、ようやく好きなだけ触ったり観察したりできる。どの弦が低い音なのか、弦の太さの違い、コマの対称ではない微妙な形、弓に張られた馬の尻尾。

 

クラオタがヴァイオリンを習い始めたら、どうなるか。

 

ーー>  勝手に曲を弾き始める。

 

本当は、ヴァイオリンは最初に「正しい弾き方」を習得することが重要で、まずは基礎練習をしなければいけない。勝手に自己流で色んな曲を弾いてはいけないのだろう。

 

だけど、一通りドレミが分かったら、どうしてもメロディーを弾きたくなる・・・よね?

 

古時計のメロディーを弾いてみたり

 

懐かしのバイエルの曲が音程を取りやすそうだから弾いてみたり

 

お気に入りのクリスマス曲を弾いてみたり

 

バルトークのあの曲などを弾いてみたり(本当はこれを目標にしたかった)

 

録画時期はいずれも10月。ヴァイオリンに取り組んで2ヶ月ぐらい。レッスンは4回ぐらい。このあと上達したのかと言えば、たぶんしていない。いろいろ疲れて録音する気力はもうなかった。

 

最後のレッスンで1回だけ先生とアンサンブルした。なるほど、弦楽器のアンサンブルは快感ではないか!知らなかった。でも、これが自分にとって最初で最後のアンサンブルかもしれない。

 

 

急に始まり、急に終わったヴァイオリン・プロジェクトだった。

 

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12月末のイタリア旅でクレモナを訪問する予定だったので急遽実行した企画だった。クレモナはヴァイオリン製作が盛んだった町。

 

www.music-szk.com

 

17~18世紀にストラディバリたちが製作した名器の最大の秘密は楽器の木の部分に塗られたニスだったという。ニスが響きを左右するらしい。当時のニスの調合はまだ謎の部分があり、分かっていない。

 

ニスが音に影響する?!そんなアホな!

 

と言いたくなるが、一応ヴァイオリンという楽器を身体に押し付けて、音を鳴らして、楽器の振動を感じた経験を持つ人間としては、なるほどそうなのかもしれないと納得できる。

 

秘密の短期ヴァイオリンレッスンの成果は、たぶんそれだけ。それで十分なのかもしれない。それ以上望んではいけない。

 

このプロジェクトは、旧ブログでは内緒にしていた。イタリア旅の出発前に公開する予定だったが、そんな気力もなかった。

 

かわいそうなヴァイオリンは放置された。

最後のレッスンの後、ずっと。

わたしはもう気力がなかったから、

練習する気になれなかった。

せっかく学んだことも忘れてしまった。

とほほ。幻のヴァイオリンレッスンだったか。

もう半年以上。蓋さえ開けていない。

そろそろ開けないとヤバイかもしれないが、こわくて開けられない。

もうだめかも。

開けたら、オバケが飛び出すかもしれない。

 

 

安物とはいえ、素人目には十分立派なヴァイオリンに見える。木目や艶もイイ感じ。

安物とはいえ、それなりに役目を果たしてくれたわたしのヴァイオリン。

たぶん、わたしの人生でたった一挺のヴァイオリン。

そろそろ、救出してあげないと。

でも、こわい。

 

勇気を出せ、自分。

コラッジョ・・・(イタリア語)

 

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