オペラ歌手(テノール) ロランド・ヴィラゾン メキシコ出身 ドイツ語が得意 フランス在住 作家でコメディアン?

Rolando Villazón 
1972年、メキシコシティ郊外に生まれる 

 

わたしにとっては珍しいチョイスだと思うのだが、読者も驚いてくれただろうか。今年前半、落ち込んでいたときに、笑わせてもらった人でもある。1度も生演奏は聴いたことないし、持っているのはDVD1つだけ。

気に入ったドキュメンタリー番組2つを紹介したいがために、今回はこのテノール歌手を取り上げた。

こんな人間が近くにいたら、うるさくてストレスになりそうだけど、スクリーン画面にいるだけなら大丈夫。観たいときだけ観ればいい。

 

唯一持っているのはDVDのオペラ「ドン・カルロ」。ロンドンのロイヤルオペラハウス、アントニオ・パッパーノ指揮。数年前、東京で二期会「ドン・カルロ」を鑑賞する前に予習として何度も観た。ロドリーゴ役のサイモン・キーンリーサイドも好きだったが、いかにも情熱的なラテン風でありながら、どこか繊細で弱い部分も感じる、ある意味ドン・カルロ役に合っているヴィラゾンが気になった。

オペラの主人公の男はだいたいダメダメくんであることが多い。(特にイタリアオペラでは?笑)

そういう役が彼はよく似合う。(褒めてます!)

太くて立派な眉を上下に大きく動かしながら表情を作るテノール歌手。

ヴェルディ作曲オペラ「ドン・カルロ」
DVD(画像をクリック)

 

で、少し調べてみたら、コメディアンとしか思えないようなYouTube動画を見つけた。でも、見なかったことにした(笑)

 

数年後、ヴィラゾンは、わたしがドイツ語の勉強に活用している北ドイツのラジオ局のインタビューに出ていた。 

オペラ歌手ともなれば当然ドイツ語もある程度は得意なのだろうけど、それにしても、上手いではないか。ウィーンかどこかに住んでいたのだろうか?ドイツの音楽院にでも通っていたとか?そのような情報はどこにも出ていないが。何年もドイツ語を勉強しながら、全然上達しないスズキは悔しくて泣きそうになってしまった。どうしたらドイツ語がもっと自由に使えるようになるのだろう(涙)

 

改めて調べ直したとき、ドイツ語のウィキペディアでようやく背景を知った。彼は出身国メキシコで、ドイツ語で教育する学校に通っていた。

お時間あるなら、少し古いけどこちらのドキュメンタリー番組(2006年)をどうぞ。


Rolando Villazón - A Mexican Dream (Documentary, 2006)

こら!車から身を乗り出してはいけません!

 

この番組によると、当時は、両親がドイツ人(ドイツ語圏出身者?)でないと、その学校には入学できないというルールがあったのだが、オーストリア出身の曾祖母が自分のバックグランドから何かを受け継いで欲しいと願って、ドイツ語を学べる学校に、無理やり入学させてもらったらしい。

ジョーク命のヴィラゾンなので、どこまでが本当の話なのか、どこからがジョークのための演出なのか、分からないが、祖母が大活躍したとのこと。祖母は、立派な服を着て、スーツケースを引っ張って学校に来て、校長先生に直談判した。「わたしはドイツの文部大臣だ!孫を入れてくれないと学校を閉鎖する!」などと言って。うーん、その部分は作り話かもしれないが、ようするに彼のエンターテイナーな面はおばあさん譲りらしい。

 

同様に、名オペラ歌手プラシド・ドミンゴがメキシコに来たときも、携帯電話で話しながら関係者のふりして無理やり楽屋に入り込んでドミンゴに近付いたとか。おそらく「携帯電話で話しながら」というのは作り話だろうけど、関係者のみしか入れないところに、関係者のふりして入り込んだのは確かなのだろう。

そうやってチャンスを自らきちんと掴みに行ったからこそ、彼はメキシコのスターではなく、世界各地の大舞台で活躍するテノール歌手になったのだ。シンデレラ・ボーイと呼んでもいい。必要なときに必要なことをする勇気が人生を作る。運命か使命か何かに動かされて前に出て行ったように感じる。

一時期、聖職者、神父になろうかと思ったこともあったと、番組で言っている。昼間はキリスト教系の学校で教師として働き、夜は音楽院に通ったとか。苦労人である。すぐに自分が目指す道は神父ではないと悟ったらしいが、それでも宗教は常に身近にあるのだろう。そんな気がする。

 

上の動画内で、ちらりとアンナ・ネトレプコと一緒に歌ったヴェルディ「椿姫」の映像がながれる。昨年末イタリアで鑑賞したこの作品をわたしは今年もまだ引きずっていたので、年が明けてからもこのヴィラゾン&ネトレプコの映像をよく観た。

 

ヴィラゾンにとっては、本番前の緊張を解く方法が「ジョークを発する」ことなのだそうだ。だから、机に向かって黙って物書きをしている姿など想像もできないのだが、作家としても活動しているという。ウィキペディアによると、スペイン語の小説作品はフランス語とドイツ語にも翻訳されているというから、それなりに需要のある本なのだろう。

 

徹底して面白さを追及している超明るい人間なのに、どこか陰を感じてしまう。

そう感じるのは、ウィーンやニューヨークなど、メジャーな歌劇場で活躍する中で喉の手術を受けたという話のせいでもあるのかもしれない。どこか無理しているのかもしれないけど、本人が自信を持って選んだ道であり、迷いは無いのだろう。

 

お時間ありましたら、こちらの動画もどうぞ。おもしろいわよ!


Rolando Villazón - Mission Incognito: Flashmobs with side effects

いや、凄いオペラ歌手なんだけど。変な人。おもしろおかしい人だなぁ。

ベルリンの道を歩くとサインを求められる。人気者。目立つお顔ではあるが、日本では、オペラファンぐらいしか彼に気付かないだろうな。オペラファンは日本では少数。ヴィラゾンは人にとことん好かれる人柄。ドイツで人々に愛されているのがよく分かる番組。

 

この動画は、ここ数年、世界各地で人気のフラッシュモブ作戦を記録したドキュメンタリー。フラッシュモブとは、演奏者たちが一般人に紛れて待機し、突然音楽を始めるという、お馴染みの企画。

その企画の前に、フラッシュモブを計画しているアマチュア合唱団の皆さんにドッキリを仕掛ける。変装したヴィラゾンは合唱団の一員に加わるが、指揮者の指示に従わず、大声で歌いまくる。周辺の合唱団メンバーは「トラブルメーカー」がいる、嫌だなぁ・・・なんて気分に。なんとか、指示に従ってもらうように、さり気無く注意するが聞いてもらえない・・・ ヴィラゾン、ますます大声で歌う。空気読まないイタイ男を演じる。

本当に、身近にいたら面倒な人間だなぁと思う(笑) でも、動画や舞台上で見る分には面白くて良い(笑)

 

このフラッシュモブ企画も、彼がドイツ語を普通に喋れるから面白いのよね。語学ができることは得だ。英語で会話では盛り上がらない。通訳を入れるのも微妙。ドイツ語で冗談を言い合えるから、合唱団とも仲良くコミュニケーションが取れる。(曾おばあちゃんとおばあちゃんに感謝ね!)

 

ヴィラゾンはフランス在住でフランス国籍も取っている。ベルリンは好きだけど、気候がイマイチだからフランスに住むことにしたと動画で言っていたが、コメント欄に「だったらスペインに住んでよ!フランスより暖かいわよ!」というのがあって面白い。確かにそうだ。でも彼はきっとフランスが好きなのだろう。(密かに共感するスズキ)

 

ところで、彼の苗字Villazónはどうカタカナで表記するのが妥当なのだろう。検索してみたところ一番よく使われているのはヴィラゾンだったので、このブログでもそれを採用した。

南米のスペイン語ではVをBのように発音する。メキシコではどうなのだろう?もしBで発音するならビラゾン。スペイン語のZは英語のthに近いと、アメリカのスペイン語の先生は言っていた。ゾンというよりソンが近いかもしれない。エル2個もやっかいだ。英語では「ラ」だが、スペイン語ではたぶん「リャ」あるいは「ジャ」だったはず。

ドイツ語圏での読み方、フランス語圏での読み方、スペイン語圏での読み方など、それぞれ違うのだろう。どれが「正しい」という問題ではない。全部ある意味それぞれの言語では正しいのだから。ああ、ややこしい。

 

人生って、人生って・・・もう疲れたなあ。イヤだよね。でも、そこのアナタも、気晴らしにヴィラゾン動画でも観てくださいな。フラッシュモブ最後まで観てね。少し寿命が延びるかも。(いいなぁベルリンに移住したくなった・・・)

 

来日情報

わたしが知る限りなさそう。

 

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