君はスパレンマンを知っているか?! ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラという楽器について

最近、オランダ・バッハ協会 Netherlands Bach Society のYouTubeチャンネルをチャンネル登録した。「協会」という名前だが、1921年に設立されたオランダで一番古い古楽の演奏団体である。今年2018年6月からヴァイオリニストの佐藤俊介さんが音楽監督。

今日、このチャンネルで、セルゲイ・マーロフが演奏するバッハの無伴奏チェロ組曲が公開されていた。

セルゲイ・マーロフ Sergey Malov はロシア出身のヴァイオリン奏者ヴィオラ奏者

彼がチェロ曲を演奏(?)

それなら、きっとアノ楽器だ!!

 


Bach - Cello Suite No. 6 in D major BWV 1012 - Malov | Netherlands Bach Society

 

ほら、

ほらほら、

やっぱり!!

でたーーーーー!!(オバケではない)

ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ!!!

 

バッハの無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調は好きですよ。天に昇っていくような感じが。

 

この第6番は5本の弦を持つ楽器のために作られたのだけど、チェロの弦は通常4本。(わたしは以前、5本弦の特別なバロックチェロの演奏を聴きに行ったことがある。)そのため、ふつうのチェロではバッハが遺した楽譜通りの演奏は難しい。

 

そこで、この魅惑の楽器ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ violoncello da spalla (長いので「スパッラ」)が、この曲の演奏楽器として候補に挙がる。なぜならこの楽器は5弦なのだ!「スパッラ」は「肩」つまり肩にかけて弾く弦楽器。

肩にかけるというか、楽器を身体に押し付けているように見える。

ヴァイオリンやヴィオラとは違い、スパッラは常に「顔」を真正面に、お客さんの方に向けている。その堂々たるインパクトに、最初は笑いそうになってしまった。遮る物のない状態で、オレの「顔」を見続けてくれ! スパッラは自信満々に言う。(ような気がする。)

鍛え上げた身体のような立派な厚みも、その堂々たる姿にプラス。

 

わたしはスパッラという楽器の存在を知ってから、まだ数ヶ月しか経っていない。

ある方が「きっとスズキさんは、セルゲイ・マーロフというヴァイオリニスト兼ヴィオリストに興味持つわよ」と教えてくれた。ヴァイオリン、ヴィオラだけでなく、とても珍しい楽器も演奏しているとか。

それで、調べてみたら、このデーーーンと存在感のある楽器が出てきて、スズキは思わずニヤけてしまったのだった。あらまあ!カッコイイ!

 

それからこの楽器について調べてみた。スパッラはバッハの時代には使われていた楽器だが、その後、廃れてしまった。楽器が復元されて、演奏されるようになったのは近年になってから。

この楽器を製作しながら、ヴァイオリン奏者やヴィオラ奏者をスパッラの世界に誘惑しようと企んでいる人物を知った。


Violoncello Da Spalla, Why It Is The Best Time NOW And How To Start.

 

情熱と少々クセのある人物(笑) 製作者であり営業マンであり演奏者でもあるバディアロフ氏はロシアのカバルダ・バルカル共和国ナリチク出身。スズキ個人的に大注目のコーカサス地方ではないか。コーカサスって、やはり不思議な人物が多いのだろうか?

スパッラは、ヴァイオリンやヴィオラを演奏する人にとっては演奏しやすい楽器らしい。この楽器を使えば、ヴァイオリンでは演奏できないバッハの無伴奏チェロ組曲が弾けてしまうのだ。夢のような楽器ではないか!(いいなぁヴァイオリンの人・・・)

古楽の世界で活躍するシギスヴァルト・クイケン、寺神戸(てらかど)亮さんもこの楽器の演奏者。

 

ブログ記事の冒頭で紹介した動画の撮影場所はアムステルダム郊外のイベントホール。

 

ところが、動画の説明文では全くヴィオロンチェロ・ダ・スパッラについて触れていない。(上の動画のスパッラ製作者バディアロフ氏がショックを受けるだろう!)まるで「チェロ奏者」が「チェロ曲」を演奏したような書きぶり。それでいいのだろうか?!その楽器を知らない人は、動画を見て、アタマに大きな「はてな?」が浮かぶはず。

 

?????

それ、どうみてもチェロじゃないじゃん!!

 

説明文にはインタビュー動画へのリンクがあるのだが、動画タイトルは楽器の名前をはっきりさせずに Instrumentとだけ書いている。インタビュー動画を再生した人だけが、ようやくアノ楽器の名前を知ることができる。

 

なんだかもどかしい。そこで、スズキは衝動的にこの記事を書こうと思った。このインパクトある魅惑の楽器の存在をアナタにも知ってもらおうと思って。

 

演奏者マーロフのインタビュー


Malov on Bach Cello Suite No. 6 in D major (instrument) BWV 1012 | Netherlands Bach Societ

彼は本当にスパッラという楽器がよく似合う。身体にフィットしている。演奏する姿が神々しく見える。

スパッラは見た目のインパクトは強いが、派手な演奏はできない。制限のある中で可能な限り表現する。同じ曲でも、チェロで演奏するときとは異なる雰囲気だ。

インタビューの字幕を見ると、まるでマーロフはもうヴァイオリンをやめてしまったかのような表現になっていたのだけど、別にやめてはいない・・・はず。念のためチェック。

マーロフさんのインスタグラムをチェックしてみた。彼のアカウント名は「スパレンマン」(スパッラの人?スパッラを弾く人?スパッラ男?そんな感じの意味) 

www.instagram.com

ほら、今もヴァイオリンを演奏しているではないか。

 

それでも、インタビューで話していることやインスタのアカウント名から察するに、おそらくヴィオリンチェロ・ダ・スパッラこそが彼にとって運命の楽器だったのだろう。ヴァイオリンやヴィオラよりスパッラを愛しているのだろう。楽器と出会ってしまったのだから。ふふふ。あの楽器製作者と一緒にグルになって、みんなを誘惑しようとしているのね。

 

いくつかインスタの動画を見てみると・・・ん?ジャパンツアー?しかも今月?

うそ!? スズキ、知らないわよ。

 

調べてみると、今月中旬に名古屋の宗次ホールと埼玉の名も知らぬホールと横浜の名も知らぬホールでセルゲイ・マーロフは日本のピアニストと一緒に演奏していたらしい。

プログラムが少々微妙なのだけど、ヴァイオリンだけでなくスパッラも演奏したらしい。

何も知らなくて残念・・・

 

いつか、マーロフが演奏するスパッラを含む通好みなプログラムを聴きに行きたい。

 

あ、武蔵野さん、お願いします(笑)

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