クラオタ人生初 軽井沢でメサイアを鑑賞

2018年12月22日
軽井沢大賀ホール

ヘンデル
オラトリオ「メサイア」


鈴木 雅明(指揮)
森谷 真理(ソプラノ)
藤村 実穂子(アルト)
ザッカリー・ワイルダー(テノール)
ベンジャミン・ベヴァン(バス)
バッハ・コレギウム・ジャパン(合唱・管弦楽)

Handel  | Messiah  | Bach Collegium Japan  |  Masaaki Suzuki | Karuizawa Ohga Hall

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カルイザウ・フガー・ホール?(イジワルスズキ)

 

雪も覚悟していたのだが、12月にしては気温が高い日だった。

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クリスマスにオススメのクラシック音楽コンサートを紹介する記事を書いたのは9月だった。

www.music-szk.com

わたしとしては当然、9月頃から検討して早めにチケットを買うものだと思っていたのだが、11月、12月と少しずつアクセスが増え、この2~3日がピークになっている。

なんでだ?!

皆さん、こんな直前になってからコンサートのチケットを探すの?!

早めに確保して事前準備とかしないの?!

曲の予習とか?!

しないか・・・

一般の人は雰囲気だけを楽しむのか。

 

まあでも、もし今後、予習してからコンサートに行きたいと思う人がいれば、この記事を参考にしてもらえればと思う。

内容は、自分が予習や本番でおもしろいと思った部分のみを取り上げたので、「正しい解説」ではない。その点はご了承いただきたい。

軽井沢でのメサイアはオススメ。

東京から新幹線で1時間。ホリデーシーズンの小旅行として、いつもと違う雰囲気を楽しめる。

駅前のアウトレットモールは、土曜昼頃は既に混雑していた。レストランには順番待ちの列。わたしは少し離れたところにあるホテルのランチビュッフェを予約していたので、タクシーで向かった。1日でどんどんお金は消えていったが、年に1回ぐらい、まあいいや。。。

ランチ後に軽井沢駅に戻る。コンサートは15時から。

大賀ホールは軽井沢駅の近くに立地している。目の前には大きな池。

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予習で使ったCDは図書館で借りたアーノンクール指揮の録音
↓ 画像をクリック
Amazonプライム会員なら購入しなくても聴ける

 

流れ

メサイアは3部に分かれている。それぞれ1時間、1時間、30分で合計2時間半。

第1部は、暗い世の中で苦しむ人々が救いを求める(まあ!現代の世の中みたい!)、救い主が現れるという予言、救い主の誕生。

第2部は、せっかく表れた救い主が人々から非難されてイジめられて、悲しみながら十字架に架けられて死んでいくところ。

第3部は、その後の世界で生きる人々が起こったことを記憶に留めて、改めて信仰を誓う。

 

英語

テキストは英語なのだが、これが実は少々厄介だ。シェイクスピアより100年以上経っているのだが、それでも現代の英語とはだいぶ違う。聖書の話を知っていれば、ある程度想像できるかもしれないが、そうでない場合は、英語のままで理解するのは難しい。

同じ時代のドイツ語やイタリア語作品の方が、違和感なく読める。

英語も、ある程度パターンが決まっているのでそのうち慣れてくる。

親しみを込めた二人称単数(あなた)thou, thy, thee, thine は、神に対するときにも使う。複数形はye。

これについては他のヨーロッパ言語を学ぶと感覚が分かるようになる。フランス語やイタリア語でも親称は t で始まるし、ドイツ語ではそれに近い d の音。英語しか知らなかった頃は、違和感あったけど、最近は何となく感覚的に受け入れられる。 

他にも、has は hath で、says は saithだったり。もちろん th のところは th の発音で。

 

 

第1部

暗く始まる。そう。人々は苦しんでいる。死の恐怖。先行きが見えない不安。心の支えの欠如。最初の曲は楽器演奏のみ。

ホールのステージ上、中央前方はもちろんチェンバロ。指揮者の鈴木雅明さんが演奏する。

ソリスト以外は黒と赤をベースにした自由なコーディネート。皆さんシックで素敵。

歌が入るのは2曲目から。テノール歌手のソロ。びっくりするぐらい超笑顔で客席の一人ひとりと目を合わせながら歌う。演奏者の表情がよくわかる。それだけ客席と舞台が近いということ。

ははん、彼はこのホールの響きとこの距離感で歌うことが楽しくて仕方ないのだな。顔に出てるぞ。

プログラムによると、テノールのワイルダーさんは2016年にバッハ・コレギウム・ジャパンとヨーロッパで初共演、今年2月に日本でも共演。このホールは初めてなのだろう。気に入ってしまって気合満々という感じ。

ホールは舞台をぐるりと囲む五角形で天井は高い。

どの席に座っても舞台が近い。

すごい密な空間。

 

第1部の中で好きな部分をお教えしよう。

11. Chorus
For unto us a Child is born... で始まる曲の真ん中あたり。

CDのアーノンクールによる解説にわたしは心惹かれた!

子どもの名が「不思議な助言者」Wonderful Counsellorと呼ばれると、ヴァイオリンは、いわば幸せに酔いしれて、ニ長調やト長調の3和音、あるいはハ長調の3和音の周りをまわる。

ヴァイオリンが「幸せに酔いしれる」ですって!

そして、ヴァイオリンは音の周りをまわる!

聴いてみたい。CDで該当部分を探して聴いた。

アナタも聴きたいでしょ?

ほら!


For unto us a child is born - AAM, VOCES8, Apollo5, VOCES8 Scholars

ヴァイオリンたちが幸せに酔いしれて3和音を周っているのは 1分46秒ぐらいから。

2分29秒、3分06秒でも「周って」います。

嬉しくて仕方ないヴァイオリンたちがカワイイ♪

うっとり恍惚な様子ではないのです。きっと「わーい!うれしい!バンザーイ!」と子どものように無邪気にキャッキャと声をあげて喜んでいるのです。みんなを助けてくれる方が来てくれたよぉ!!と。

パワポでイメージを作ってみた。

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英語で言うならgrinningかな? うれしくてニンマリしてしまう感じ?

言うまでもないが、この「幸せに酔いしれるヴァイオリン」は生演奏の方がグリングリンしていて楽しい。動画で聴くと、ちょっと違うかな・・・と。

 

第2部

救い主として来たのに、裏切られて苦しみ悲しみ死んでいくキリストの受難の場面。全体的に暗いが、最後に歌われるのは有名な輝かしい「ハレルヤ」。そこまで耐えましょう。

あ、スズキは第2部のような暗さは好きなので大丈夫。バッハのマタイ受難曲は辛すぎてダメなのだ。あれを聴いていると、人間は何て愚かな生き物なのだろうと絶望してしまう・・・ でも分厚い楽譜は購入済みで、いつかじっくり取り組む予定なのだが。一方で、ヘンデルの「メサイア」なら、それほど思い詰めずに楽しめるので安全(笑)

アルトの藤村実穂子さんの歌を聴くのも久し振りだ。パリで「パルジファル」のクンドリ役や東京の歌曲リサイタルを聴いたことがある。彼女が歌う毒のある役とか、皮肉を込めた歌が好きなのだが・・・オラトリオではそういう場面は少ないのだけど、持ち味が発揮される部分があった! 

20. Air (Alto)
He was despised and rejected of men... で始まる曲の後半。

神の子として生まれてきたのに、蔑まれて、拒絶されて、見ていられないほどかわいそうなのに、彼は攻撃してくる人の攻撃を自ら進んで受け入れる。

悲しげな前半部分もいいのだが、4分03秒あたりからについて・・・


Bach Collegium San Diego | He was despised (G.F. Handel: Messiah)

He gave His back to the smiters,
and His cheeks to them
that plucked off the hair

鞭打つ者には背中を向けて、それで・・・?

ん?頬の髪を抜く者?

「髭を抜く者に頬を向ける」ということらしい。

ぷぷぷ!

おっと、失礼。こら、スズキ。笑う場面ではない。

でもさ、日本の下品なテレビ番組のバツゲームみたいな印象を持ってしまう・・・ 

しかし、ヒドイじゃないか。頬の髭を抜こうなんて、痛いじゃないか。。

攻撃してくる人々に対する、キリストを慕う者たちの怒りを表しているから、この部分は激しい歌いっぷりになるのだろう。実穂子さんの重みと凄味のある歌で、これまでに聴いた彼女の歌を思い出した。クンドリとか、フリッカ(ネットで鑑賞)とか、「少年の魔法の角笛」の最後が「イーーーア!」のあの歌とか。

 

CDで取り分け気になったのはバスのジェラール・フィンレイの独特の歌声。あの強烈なビブラート! 不気味と言っては失礼だろうか。いや、この場合の「不気味」は「カッコイイ」に近い意味なのだけど。ビリビリ電流が走っているようなパワーのある声。決してバカでかい大声というわけではなく、むしろ音量は押さえているのに凄まじい存在感。発音の一音一音が何かを主張している。

Amazonプライム会員の皆さんは、よろしければ上に載せたCDのリンクからフィンレイさんが歌うバス独唱曲を抜粋で聴いてみては?

フィンレイの歌で悪役を聴きたい(笑) 超極悪人がいい。そうだ。トスカのスカルピアがいい。

バスのソロは「メサイア」の中で数回ある。

第2部では 36. Why do the nations so furiously rage together がバスのソロ。なかなか聴き応えある。

この日のバス歌手も良かったが、彼は前のめりに勢いよく歌っているように感じた。フィンレイは、じっくり落ち着いて歌いながらニヤリと小さく笑うイメージ。

第2部最後は「ハレルヤ」。苦しみは終わったのだ。

お客さんも立つのかどうか?! 決まりではないが、そのときの状況による? 始まる前に左右をみて状況確認する人もいたが、結局、今回は誰も立たなかった。数年前のサントリーホールでは一部のお客さんは立って一緒に歌っていたように記憶している。

 

第3部

見所はやはりこれ。

43. Air (Basso)
The trumpet shall sound... で始まる曲

このバスの独唱もまたカッコイイのだが、一緒に奏でるトランペットが曲のカッコ良さをさらに上げる。


Handel - 'The Trumpet Shall Sound' from Messiah

使用されている楽器は現代の楽器とは違うトランペット。バロック・トランペットあるいはナチュラル・トランペットという。

ただし、わたしが見たのはこの動画のトランペットとは違う。もっと長かった。

奏者は腕をグっと伸ばして、右手片手だけでトランペットを構えて、左手は腰に(見えなかったが、多分そうしていた)。

古いトランペットには音程を変えるボタンは付いていない。動画のトランペットもボタンは付いていないのだが、どうやら小さな穴が開いていて、それを押さえるために両手で演奏しているのか? 大賀ホールで見たトランペットには穴さえ開いていない。完全に口だけで音程を調整していたのだ。

技術的な面でもカッコイイが、演奏する姿もまたカッコイイ。

大賀ホールで演奏したトランペット奏者の一人 ジャン=フランソワ・マドゥフさんのCDジャケットの絵でもナチュラル・トランペットを演奏する姿勢を確認できる。

画像をクリック

終演後

アンコールは クリスマスらしく Silent Night を合唱団のみのアカペラで。鈴木優人さんによる編曲で、3番目には複雑で繊細なソプラノソロが入る。

母もわたしも楽しんだ。

終演後の客席の熱狂がやけに激しい。

年末だから?

わたしの予想だけど、毎年ここまで聴きに来ている常連ばかりなのでは? 東京から来ている人も多いのでは? サントリーホールでも聴けるのに!

サントリーホールはもちろん良いホールなのだが、それでも、うん、わたしも思う。軽井沢のこのホールで聴くほうが聴き応えある。

拍手、ブラヴォーに混じり口笛まで鳴らすお客さん。感激している。演奏者もうれしそうだ。

大賀ホールでは春と夏に音楽祭も企画している。

このホールにはもう1つ秘密がある。なんと、日本のホールでは珍しく、立見席があるのだ。ずっと立っているのも辛いのでは?と思うのだが、自分の席から立見席を眺めてみると、なんとなくリラックスして気軽に聴けそうな雰囲気だった。いつかわたしもあそこで聴こうかな?

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チケット購入するなら

チケットは確か「ぴあ」では完売だった。

売り切れた時期は、はっきりとは分からないけど、わたしが買ったのは9月。その後、ちらっと確認したときには既に無かった。たぶん10月か11月には売り切れていたのかな?

もし行ってみたいなら、来年のカレンダーの9月のところに「軽井沢メサイアのチケット買う!」と書いておこう。

 

 

大賀ホールについては別記事でも取り上げています。

 

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