もっと効果的な演奏家プロフィールの書き方(スズキ案)

スズキはとにかく自分の知識を広げてくれる演奏家を求めている。

「お客さんは何にも知らなくていいんだよ!」

「リラックスして雰囲気だけ楽しんでください!」

という演奏家には、申し訳ないけど興味を持てない。

(でも、そういう演奏家を求めている人もいるから、ガッカリしないで頑張ってくださいね!)

 

「みんなに聴いてもらいたい!」

「みんなに応援してもらいたい!」

という演奏家にも、申し訳ないけど興味を持てない。

わたしは、わたしの好奇心を刺激してくれる演奏家を応援したい。

自分の独特の趣味嗜好に合う演奏家を求めているのであり、万人受けする演奏家を探しているのではない。

演奏がうまくて、頑張り屋で、人柄がいい演奏家は山ほどいるので、全員を応援することはできない。

それに、わたしの趣味は「頑張っている人を応援すること」ではない。目的は「わたしの知識を広げてもらうこと」であり、その手段として、「わたしの知識を広げてくれる人を応援する」という行動に出るだけ。

クラシック音楽のファンの中には「頑張っている人を応援すること」が好きな人もいる。彼らにとっては、応援することが音楽鑑賞の目的なのだ。キラキラしている人を見ると元気になるのだろう。小さい子や若い人がプレッシャーに立ち向かっている姿を見るだけで涙を流す人もいる。(自分の孫や子どものように思えるのだろう。)でも、わたしはそういうタイプのファンではない。

 

みんなに愛されることを諦めた演奏家は、スズキのような変わり者に愛される可能性をゲットできる!(え?イヤですって?)

 

むかしは、万人受けする演奏家を目指すことが無難な道だったのかもしれない。独特の道を行こうとしても、世界にアピールする方法は限られていたから、食べていくのはむずかしかった。コンクールで目立つか、テレビ等のメディアで取り上げてもらうか、既に有名な演奏者の仲間になるか・・・

いまは、ネットのお陰でニッチな分野でもアピール方法はいくらでもある。

 

ネットで無料で音楽が聴けるようになってしまった現代だけど、筋金入りのクラシック音楽ファンは今でもそれなりに金銭を費やして音楽を楽しんでいる。東京では年間100回以上もコンサートに通う人もいるし(ツイッター民のなかに何人もそういう人がいる)、何千枚、何万枚のCDやレコードに埋もれて暮らしている人もいる。わたしも好きな演奏家のコンサートなら喜んでサイン会でCDを買うし、時には思い切ってヨーロッパまで追いかけていってコンサートを楽しんだり。

それでも、演奏する人「みんな」を応援するのは時間的にも費用的にも無理なのだ。自分が時間やお金を費やしてもいい、いや、むしろ喜んで費やしたいと思える演奏家を常に探している。

 

演奏家は「お客さん」「皆さん」という1つの括りで捉えているのかもしれないが、聴き手の我々は実は一人ひとり拘りが強く、かなりバラバラ。どんな演奏を求めているか、どんな演奏家が好きかということはそれぞれ異なる。

 

  • 独自の道を行く音楽家
  • そんな音楽家に刺激を受けたい、応援したい音楽好きの一般人

この両者のマッチングは、あまり上手くいっていない気がする。

我々音楽ファンの探す努力が足りない部分もあるのだろうけど、音楽家の側にも何かしらアクションをとってもらわないと、そもそも探す手段さえなくなってしまう。

素晴らしいことをやっていれば、いつか誰かが認めてくれて、徐々に口コミで広がって、ファンが増えていって・・・というのには恐ろしく時間がかかる。

 

インスタグラムを始めて1ヶ月とちょっと。

世界中の見知らぬ演奏家からフォローされて一瞬よろこんだのだけど、どうやらフォローバックを期待したフォロワー集めだったということに気付いた。(以後、ほとんど無視することにした。)

音楽と旅を組み合わせた楽しみというわたしのテーマに共感してくれたというわけではなかった。

わたしの独特の世界観を見抜いてアピールしてくれたわけでもなかった。

ただ、クラシック音楽が好きそうな人を片っ端からフォローしているのだろう。でも、そのような「数打てば当たる」方式では、自分を応援してくれる人を探し当てることはできない。少なくともわたしの心は動かない。

わたしは生演奏を楽しむ人間であるから、自分が行けない場所で見知らぬ演奏家が演奏していても興味を持ちにくい。

でも、それがビックリするほど独自性の強いプログラムであれば興味を持つ可能性は高い。あるいは、特別な想いと共に演奏したという背景が分かれば印象に残るかもしれない。

しかし、そういうケースはほとんどない。演奏家がインスタに載せているのは情熱を注いだ演奏そのものに関する情報より、当日の衣装やプライベートの写真ばかり。

うーん、残念だが、わたしはアナタには興味持てない・・・

 

前置きが長くなったが、スズキのような変わり者に興味を持ってもらいたい演奏家にオススメのプロフィールの書き方を紹介したい。

まず、こちらは典型的なプロフィール。はっきり言って、スズキ的には全然おもしろくない。

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まるで日本のサラリーマンの履歴書みたいだ。。

コンクール歴は本人にとっては努力の結晶であり輝かしい実績なのだろうけど、わたしはあまり興味ない。 書くとしても1つで十分。オーケストラや指揮者との協演を羅列したものもおもしろくない。幅広く何でも演奏できるというのは素晴らしいけど印象には残らない。

この感想はわたしの感想であり、他のクラシック音楽ファンはそれぞれ違う感想を持つだろう。

たとえば、ピアノで言えば各国のピアノ奏法の違いやピアニストの歴史・流れ(系譜)に興味がある人(台湾のライター焦さんのような人)なら、学校や師の名前を重視する。オーケストラ鑑賞の延長線上としてピアニストをチェックしている人なら協演の指揮者や管弦楽団の情報は重要。

つまり、どのような情報を求めているかは人それぞれ。画一的なプロフィールではなく、ターゲットに合わせて複数のパターンがあっても良いのではと思う。

 

では、音楽好きのスズキは演奏家のどのような情報を知りたいと思っているのか?

どのような情報がプロフィールに含まれていると興味を持つのか?

 

文化的背景・環境・社会

幼少期に育った場所、家庭環境、時代(年代・年齢)、教育を受けた場所、住んでいる場所あるいは住んだことのある場所などのうち、本人が公開したいと思う部分。アーティストとしての自分に影響していると思われる部分。

 

いまの時代はインターネットもあるし、世界どこで育っても同じだと思っている人がいたら、それは絶対に間違っている。社会、文化、家庭などにより価値観は違う。子供の扱い方、他人との距離、教育の仕方なども違う。また、時代と共に社会も変わっていく。

「自分の過去などはどうでもいい。」「今のオレ(わたし)の音楽だけを聴いて欲しい。」そういう人に無理やり回答してもらおうとは思わない。

でも、わたしはアナタという人間に興味を持ちたい。

手先が器用なロボットなどではなく、様々な感情を抱えた人間として見たい。

同じ時代に人生を歩んでいる者として接したい。

 

もちろん隠しておきたいプライベートな部分は隠しておいてもらう。

 

これに関連して、どの言語に精通しているかというのもある程度分かる。

翻訳マシーンとして働くスズキはどうしても言語に興味がある。複数の言語を使用できる人はそれだけ多くの情報を仕入れやすい。英語という共通語はあっても、現地の言葉がわかることは大きなアドバンテージである。英語に訳されていない文献も読める。演奏先の国や地域の人たちと直接コミュニケーションを図れる。言葉と文化は繋がっている。言葉が分かるということは、その文化の理解も深いと言える。

複数の言語から情報を得て活用できる人は、わたしの知的好奇心を刺激してくれるに違いない。

 

プロジェクト・研究

ご専門は何ですか?

先ほども言ったけど、わたしは演奏家を演奏マシーンとは思っていない。何でも演奏できますというのは凄いけど、そんなことは求めていない。

特定の作曲家、作品、時代、楽器・・・何に情熱を注いでいるのか。

これまでにどのような研究やプロジェクトに取り組んできたのか、いま取り組んでいるものは何か、これから取り組みたいものは何か。

一人で取り組むものばかりでなく、仲間たちと取り組んでいるものでも良い。大規模である必要はないし、アカデミックな論文を書くというほどでなくても良い。特定の作曲家について個人的に熱心に研究している、○○○というテーマの連続演奏会を開催している、インターネット上でイベントを主催している、など。

この部分こそがわたしにとって一番興味があることだし、一番重要だと思う。シンプルなプロフィールにしたいなら、これだけで十分かもしれない。

 

演奏仲間

たった1度だけ協演した有名大物指揮者の名前ではなく、定期的に一緒に演奏するぐらい信頼関係を築いてきた演奏仲間の名前を知りたい。特に室内楽の協演者がいい。相手が有名人である必要はない。気に入ったら、協演者についてもわたしが自分で調べるから。

 

オフィシャルサイトのアドレス

この演奏家の活動について、もっと知りたいわ! そういう人たちに情報を提供する場所。活動を応援する方法が分かるようにする。たとえばコンサートの日程、販売中のCDなど。適宜アップデート。何ヶ月も放置してはダメ(そういう音楽家もいるけど・・・)。

SNSも活用して良い。でも、前述の通り、クラシック音楽ファンを片っ端からフォーローして応援してもらおうとしても、あまり良い結果は期待できない。奇抜な写真で気を引こうとしても、普段の何気ない写真で親しみを持ってもらおうとしても、少なくともスズキのような人間には響かない。それより、アーティストとして実現したいことが伝わるような内容の投稿にしてくれた方がスズキはアナタに夢中になる可能性が高い。(え?そんなスズキさんキモイって?)

 

誰かが勝手にアップロードしたYouTube動画ではなく、演奏家自身がぜひとも見てもらいたいと思う自分の演奏動画を自分のサイトやアカウントに載せる。

音楽への向き合い方、プロジェクトに対する情熱、自分という人間についてなどの文章、動画、インタビュー記事などがあると良い。(なければ自分でネット検索で探すけど。) SNSのような短文ばかりだと呆気ない。長い文章を読みたい。

 

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以上は一般論ではなく、クラシック音楽ファンであるスズキの個人的な希望を反映させたプロフィールの書き方アイデアでした。 

 

2018年ももうすぐ終わりか。

来年はどんな音楽と出会えるのだろう。

クラシック音楽は今後もわたしを楽しませてくれるのだろうか。

わたしはそんな余裕を保つことができるのだろうか。

うーーーん・・・

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