LFJ公開マスタークラス ピアノ 講師フランク・ブラレイ(2016年5月の旧スズキブログより)

(これは閉鎖した旧スズキブログに掲載していた記事の抜粋です。)

2016年5月

G402

講師:フランク・ブラレイ(ピアノ)

素人スズキによる理解をベースに書いてますから、間違いも多いと思います。参考にしてはいけませんよ!!

世の中には先生に向いているピアニストとそうでないピアニストがいると思います。ブラレイさんは間違いなく向いている人です。ブラレイさんはあらゆる表現の可能性の中からベストな表現を選んで弾いている人だと思います。感性だけを頼りに直感で弾く人とは違います。その表現を選んだ理由や背景を探ってみたいと、私はいつも思っています。知識ベースの理由や、人生の中で育んできた美的感覚ベースの理由など、いろいろあるはずです。レッスン聴講のチャンスをずっと待っていました!!!

生徒役は横山幸雄さんに師事している学生さんです。ブラレイさんも言ってましたが、そうなんです。横山さんもブラレイさんも同時期にパリでジャック・ルヴィエ先生に師事してました。そして、生徒さんの演奏終了後にやっと到着した通訳さんも同じ時期に同じ学校で学んでいたそうです。いつものお馴染みの通訳さんです。上手いのですよ。なるほど、通訳さんもパリの皆さんとは「同僚」みたいなものなのですね。ルヴィエ先生の教え子に共通点はあまりありません。強いて言えば、それぞれ我が道を進むタイプ。つまり皆バラバラで個性的。

レッスン曲は、まさかのショパン!! 「舟歌」です。

ブラレイさんだからこそ、シューベルトが良かったなぁ(スズキの独り言)

ああ、シューベルトさんが恋しい。

シューベルトさん・・・(切実)

「自分はあまりショパンを弾かないし、この曲もあんまり弾いたことないし・・・」と、ブラレイさん、最初からズバっとハッキリ本当のことを言いました。。。(笑) そうは言ったものの、予想通り、喋る、喋る、まだ喋る・・・ ショパンに特化したことは少なくて、ピアノ全般に言えることが中心です。

ショパンあまり弾かないとは言っても、お手本にちょっと弾いた部分が柔らかい音色で凄く良かったのですよ。「舟歌」は甘すぎないし、ブラレイさんにも合う気はするのですが・・・聴いてみたいよね?ちょっとだけ。

学生にしてもプロにしても、こうして人前で弾く人はみんなそれなりにお上手なのですが、なんで夢中になる演奏と「うまいね」と思うだけの演奏があるのだろうと、今更ですが分からなくなることがあります。

今日の学生さんも上手でしたが夢中になって聴くような感じではなく・・・ ブラレイさんの指摘になるほどと思いました。

1つは、今まさに曲が生まれているように即興的に弾きましょうということ。ようするに聴き手が新鮮さを感じられる演奏を、ということでいいのかな。既に楽譜があるわけですから、即興的な雰囲気を作り上げるなんて難しいですけどね。逆に言うと、そういうことが出来ないと聴き手は飽きてしまうわけで・・・

あと、かなり時間を割いて説明していたのが右手と左手の独立。右手の雰囲気に左手が「合わせて」しまう問題。左手だけ弾かせると、きちんと左手が出すべきニュアンスを意識して弾けているのに、両手で弾くとついつい右手の雰囲気を左手が真似てしまい、両手とも同じ雰囲気で弾いてしまうこと。

それは、ピアニストみんなが抱える問題だとブラレイさんは言っていたけど、ブラレイさんはこの件に関しては最高のテクニックを持っています。私はブラレイさんのピアノ演奏はまるで1人で室内楽をやっているようだと感じることがあります。複数の音色が同時に聴こえます。左手と右手、それぞれ異なる雰囲気を出すのは当たり前で、それどころか、ブラレイさんなら片手で複数の音色を弾き分けられるのではと思うことさえあります。

左手と右手の独立に関してブラレイさんが例えたのは主に2つ。

  • 左手&右手の関係=バレエ等のダンスの男女ペア

女性を美しく見せるために男性が支えるような場面で、男性が目立とうとしてはおかしいでしょ。台無しでしょ。

  • 左手&右手の関係=映画の映像と音楽

場面に合わせて、場面を補足するように音楽を付けることもある。ロマンチックな場面でロマンチックな音楽とか。でも、敢えて場面と違う音楽を付けて、この先の展開を予感させることもある。

そうそう、私もどこかで読んだことあります。日本映画だったかフランス映画だったか、残酷なシーンで全然関係のない美しい音楽を流して残酷さを強調するとか。

ブラレイさん、そういえばお父様がフランスの映画関係者でした。

想像力のことも。物理的にピアノには出来ないことがあるけど、出来ているように見せかける。そもそもピアノなんか歌えない楽器だけど(けっこうハッキリ言ったよね?)、まるで歌っているように表現する。ヴィブラートをかけることは出来ないけど、出来ているように何とかしてみる。

それから、自分にとって安心で心地良いエリアに閉じこもるな。外に出ていろいろ試せ。いろんな弾き方を試してみて、そこから良いものを選べ。ピアノのことを言っているのですが、人生にも言えることですよね・・・

どの先生も押し付けることはしないし、ブラレイさんもそうなのだけど、ブラレイさんは注意深く生徒の表情や演奏を観察して生徒の心情を読み取っているようで、ちょっとビビります。生徒は隠し事なんて出来ませんね・・・ 「納得していないけど指示に従ってるね」なんてバレバレで。「ありがとう」なんて皮肉っぽく言うから(通訳さんも絶妙に訳すから)客席もちょっとクスっと笑っていました。

「詳しくはないけど」と言いながら、クレッシェンドの例えに日本の書の筆について語るブラレイさん。太い筆で勢い良くザーっと書くとか、細い筆がナントカ・・・ 芸術に関心のある人なら筆書きの作品ぐらい美術館かどこかで当然観たことがあるのでしょうけど、ブラレイさんは確実に「書くところ」を見たことがあるのでしょうね。実演か映像か分かりませんけど。

例えの出し方など見ても、ブラレイさんの頭の中には芸術が沢山詰まっていることが分かります。常に想像力を働かせて生きている。あの徹底した美意識の高さ。好奇心。ブラレイさんは総合的な芸術家です。

ああ、どんなに憧れてもあんな人間にはなれない。追いつけない。いろいろ知りたくて芸術文化全般追いかけてみても、自分が吸収能力も理解能力も低いバカであることを知るだけで悲しくなるだけさ・・・

まあでも仕方ない。視野を広げて深めて色々試してみるしかない。外に出て冒険すればするほど日常がつまらなくなる。祭りが終わったらどうやって生きていこう。

あれ、なんだか悲しい感じになってしまいました。ぐすん。(涙)

 

www.music-szk.com

 

Copyright © Ongakuzukino Suzuki 2019. All rights reserved.