ホルンリサイタル初鑑賞

面白かったので少しだけ書き留めておきたい。

SNSで流れる情報は退屈なのでSNSはほとんど放置状態(好奇心旺盛な人間はアルゴリズムが嫌い→過去記事リンク)。各ホールやオーケストラのサイトを訪問して公演スケジュールをチェックしているのだが、なにしろ東京はホールも演奏団体も多すぎて面倒なのでサボり気味。結局、行くべきコンサートの情報をたくさん見逃しているのだろう。まあ、別にいいではないか。

先週末、ひさしぶりに上野の東京文化会館の公演スケジュールをチェックしていたら、ものすごく惹かれるプログラムを発見した。それが今日のホルンリサイタル。

2019年7月13日

東京文化会館 小ホール

日高 剛 20周年記念ホルンリサイタル

ロバート G. パターソン
 "ナチュラルホルンのための4つの小品"より
 I. 悲しげに

J.S.バッハ/コダーイ
 "3つの前奏曲とコラール BWV743"より
 I. ああ、我らの人生とは

フェルディナント・リース
 ホルン・ソナタ ヘ長調 Op. 34

山田 栄二
 酔う人 (委嘱作品・世界初演)

エサ=ペッカ・サロネン
 無伴奏ホルンのための演奏会用練習曲

宮沢 賢治/西下 航平
 星めぐりの歌

ヨーク・ボウエン
 ホルンと弦楽四重奏のための五重奏曲 ハ短調 Op.85

 

ホルン 日髙剛
ピアノ 三輪郁

弦楽四重奏
ヴァイオリン 戸原直  福田俊一郎
ヴィオラ 安藤裕子
チェロ 奥田なな子

 

知らない作曲家の名前を見ると興奮する人間にとって、このプログラムは魅力的だ。

パターソンは現役のアメリカの作曲家でホルン奏者でコンピュータ専門家。リースはベートーヴェンの弟子。ボウエンはイギリスの作曲家で時代的には近現代だが後期ロマン派のような作品。サロネンはもちろんあの指揮者のサロネンさん。日本人作曲家2名は今日の公演を客席で鑑賞。

 

ときどき、オーケストラや室内楽のコンサートで気になることがある。

その曲を選んだのは誰?

指揮者?オーケストラ側の人?ソリスト?

この曲とこの曲を組み合わせるというプログラムは誰のアイデア?

ソリストが先に決まったの?

曲が先に決まって、それからソリストを探したの?

プログラムにそのへんのことを付記してもらいたい。(そう思うのは、わたしだけなのだろうか?)

 

ソロリサイタルの場合は、比較的自由に演奏者本人がプログラムを決定できるので、そのような疑問を持つことはあまりない。(ただし、関係者からの提案や要望に左右されることはあるのだろう。)

今回のリサイタルは、おそらく、ホルン奏者の日高さんがご自身で組み立てたプログラムなのだろう。自由を感じる。こだわりと気合も感じる。

ホルンは、オーケストラでも室内楽でもお馴染みの楽器なのだが、ソロホルン用の曲は少ない。だから、プログラムはユニークに見える。演奏者は曲を探すことや新曲を作曲家に委嘱することに力を注ぐ。(ヴィオラもそう→過去記事リンク

わたしはクラシック音楽鑑賞12年目。最初から最後までホルンが主役のリサイタルを鑑賞するのは初めて。ホルンリサイタルの一般的なプログラムは知らない。だから、今回のプログラムが珍しい曲ばかりと感じるのは、わたしが無知だからなのかもしれない。

公演を知ったのが1週間前。鑑賞まで時間は短いし、忙しかったので予習する暇がなかったのが残念。スズキにとってコンサートは予習から始まる。ラララ~♪と旋律を歌えるようになった時点で生鑑賞するのがベストなのだ。

だから、その点は、やっぱり悔やまれる。今回のプログラムなら初演以外の曲を予習できたのに。

でも、リサイタルは面白かった。

 

 

ホルンの第一音は舞台裏から聴こえた。かなり盛り上がっている。高らかに歌っている。でも、まだお姿が見えない。

演奏者が姿を現さないうちに1曲目が終了。

2曲目、3曲目、4曲目(前半最後の曲)は、主役のホルン奏者は毎回衣装チェンジ。

前半最後の曲は新作初演の「酔う人」。

ホルン奏者はスーツ&ネクタイ姿で登場。

設定場面は「お花見」。どんな「音色」で始まるのかしらと思ったら、「声」で始まった。

黒子たちが小道具で宴会の様子を演じる。

ん?ホルン奏者日高さんの様子がおかしい。咳き込んだり、フラフラしたり、疲れてうなだれていたり、3秒ぐらい吹いてミニ休憩、その繰り返し?

ヤバイ・・・酔っている(笑)

頂点(?)に達してしまった日高さんは、ついにネクタイをハチマキに!!!

ガクガク、フラフラ、千鳥足しながら激しく演奏した挙句、最終的には黒子たちに抱えられてご退場・・・ 日高さん、泥酔する人の演技がうますぎる。もちろん高度な演奏テクニックがあるからこそ聴き応えがあって面白い。

花見で酔いつぶれるサラリーマンの様子を描いた作品の初演が、花見で有名な上野公園のすぐそばで行われたというのも良い。ぷぷぷ。

この新曲「酔う人」の楽譜がロビーでも売られていた。ちらっと見てみたが、酔った演技の指示は強制ではないので省いてもOKとのこと。

 

以上は公演の様子のごく一部。

最初から最後まで充実していた。選曲も演出も独特。面白い部分もあるが、本格的な音楽でもある。

演奏者は演奏だけすればいいという場合もあるのだろうけど、音楽をどう組み合わせて、どうやって伝えるか、すなわちプロデューサーのようなことができる演奏者は、きっとわたしの世界を広げていってくれる人たちなのだろう。

ホルン奏者の日高さんは、わたしの友達の友達なので、実は何度かお話したことがあるのだが、こんなズバ抜けた企画力をお持ちだったとは・・・驚いた。日高さんは、わたしが3回旅した長野県の木曽音楽祭(→過去記事リンク)の常連でもある。

 

終演後のサイン用テーブルに一升瓶が・・・

これはもしかして「酔う人」の小道具か!?

わたしの席は遠かったのではっきりとは見えなかったのだが、近くでみると銘柄は「日高」で、上部には「健康第一」と書いてあるではないか!?(大ウケ)

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