ピアニスト ヘルベルト・シュフの新譜ソロCD「バガテレン」

待ちに待った新しいソロCDが出た。いえ、「出ていた」が正しい。4月にリリースされていたのに気づかず、6月終わりごろに気づき、先週ようやく届いた。うれしいので記念撮影をした。

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録音時期は2017年となっているので、発売準備はずっと前に整っていたのだろう。ところが、当時フランスのCDレーベル Naïve に移ったばかりだったヘルベルト・シュフだったが、その Naïve が倒産危機か何かでCD製作がストップしていたのか、待てど待てどCDは出ない。(その後、Naïve はキングインターナショナル傘下になったらしい。)

結局、こうしてCDはドイツのレーベルBR-KLASSIKから発売となった。

www.music-szk.com

 

なぜこんなにワクワクしているのかって?

だって、好きなピアニストの新譜は砂漠の水のようなものだから。退屈しているわたしを潤してくれるかもしれないから。

 

そして事件(?)は起きた。

一通り聴き終わった。いくつか弾いてみたい曲があった。もう1回最初から聴くことにした。3曲目を聴いていたとき、ふと「あらやだ、ぷぷぷ。この曲、ファとソばかり」と思ったとき、とんでもないことに気がついた。

そういえば、

そういえば、、、

そういえば、1曲目、全部「ラ」じゃなかった?!?!?!

(今かよ!? おそい!!!笑)

 

正確に言えば3曲目は「ミ#(=ファ)」と「ファ#」が中心で、そこに「ソ」が加わる。そして、1曲目は最初からずっと「ラ」で、最後の最後に「レ」が鳴って終わる。

最初からずっと「ラ」が続く曲だったなんて。あらゆる高さ低さの「ラ」が鳴っていた。あまりにもカッコよく豊かな音楽に仕上がっているから気づかなかった。ああ、まんまと騙された気分だ・・・(というか、わたしがアホなだけか。。。)

それでやっと気づいた。面倒だから読まなかったリゲティ作曲「ムジカ・リチェルカータ」のウィキペディア(英語)にあった表は、その曲で使われている音のリストだったのね。

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1曲目はA(ラ)とD(レ)の2音だけ、2曲目は3音、3曲目は4音と1つずつ増えていく。

少しずつ音が増えていくのを感じながら鑑賞するものなのだろう。それなのに、このヘルベルト・シュフは、なんとこのリゲティの11曲のムジカ・リチェルカータの各曲の間に、ベートーヴェンの11のバガテル(作品119)を差し込んでしまったのだ!

つまりこんな曲順

1.リゲティ作曲 ムジカリチェルカータ1曲目

2.ベートーヴェン 作曲11のバガテル1曲目

3.リゲティ作曲 ムジカリチェルカータ2曲目

4.ベートーヴェン作曲 11のバガテル2曲目

・・・(以下省略)

大胆すぎる。

リゲティもベートーヴェンもどう思うだろう。。。

リチェルカータも、バガテルも、1分~4分程度の小曲を集めた曲集。小さくて気軽に聴けるミニマル音楽と言えるのかもしれないが、なんだか1曲ずつ濃い。曲が濃いのか、演奏が濃いのか。なので、良く言えば飽きずに聴き続けられるし、逆に言えば気が落ち着かないというか、常に何かを追いかけている感じがする。

シュフさんは以前、ヨーロッパのリサイタルでヤナーチェクとシューベルトでもそれぞれの小曲を交互に弾いていた。そのプログラムのCDはないし、わたしはそのリサイタルを聴いていないので、どんな感想をもたらすのか分からないのだが、こんな雰囲気だったのだろうか。

シュフさんの狙いとしては、聴いている人が、リゲティとベートーヴェン、どちらを聴いているのか、分からなくなってしまう状態にしたいらしい(ブックレットによる)。ヤナーチェクとシューベルトを交互に弾いていたときも確かそう言っていた。

ふふん。そうはさせないわよ。

スズキはちゃんとベートーヴェンとリゲティを想いながら、それぞれの曲を意識して聴くからね。やれるものならやってみなさい。負けないわよ。ふふん。

(画像クリック→Amazon)

せっかくこうして新CDが発売されたのに、宣伝動画は作っていないようだ。皆さんにも少し聴いてもらおうと思ったのに。

奥さんとの連弾は以前ご紹介したので、別の動画を貼っておく。

メンデルスゾーンのピアノ協奏曲だって!珍しい。そのプログラムにはプーランクのオーバードも入っているのだが、そこでもシュフさんがピアノを弾いたのだろうか?


Probe mit Herbert Schuch zum 4. Sinfoniekonzert • Niederrheinische Sinfoniker

 

 

 

 

おまけ 

わたしが求めるピアニスト像

ピアノが上手くて、頑張り屋で、人柄が良くて・・・というピアニストはどこにでも沢山いる。みんな応援してあげたくても出来ない。わたしだって時間も資金も限られているのだから。それに、わたしは「応援」が好きなのではない。わたしの世界を広げてくれるピアニストをいつだって求めている。どんなピアニストを求めているかというと、たとえばこんな感じ・・・

  • 選曲が上手い。プログラムの組み立て方が上手い。
  • わたしが知らない曲を紹介してくれる。
  • 演奏を聴くと、わたしもその曲を弾きたくなってしまう。
  • 作品について、1時間ぐらい語り続けられるぐらい知識が豊富。十分研究分析している。
  • ピアノ以外の作品についても詳しい(素人スズキの100倍以上の知識)
  • 強い好奇心、深い思考力、知的な分析、繊細な感性・・・
  • 上記およびテクニックや表現力をもって、説得力ある演奏ができる。

もし、そんなピアニストをご存知でしたら、ぜひ推薦していただきたい。

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