2018年11月チェコ旅 ブルノで鑑賞したヤナーチェク作曲オペラ「利口な女狐の物語」がOperaVisionで6ヶ月間も公開されていたのに・・・(涙)

(後半に悪い子ブラックスズキが登場するので、良い子の皆さんは読んではいけません。)

 

 

YouTubeの動画自動レコメンド機能が、いかに低レベルな機能であるかを改めて思い知った。

www.music-szk.com
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あの感動的な「利口な女狐の物語」も、前記事でご紹介したOperaVisionで、無料公開されていたらしい。6ヶ月間、つまり今年5月まで視聴可能だったのだ。つい最近ではないか・・・ わたしはチェコに行く前、CDでの予習だけでなく、数回YouTubeで「利口な女狐の物語」について下調べをしたので、わたしがこのオペラ作品に興味があるということを、YouTubeのアルゴリズムは十分知っていたはずなのに、この無料公開は、6ヶ月の間、わたしの目に触れることなく終了してしまった。。

わたし自身、もう1度あの上演を楽しむことができたら、幸せだったはずなのに。

皆さんにもご紹介したかったのに。

いや、紹介したところで誰も見ないだろうけどさ・・・ オペラ作品の最初から最後までパソコンに張り付いて鑑賞してしまうだけの時間の余裕があるのは、多忙でストレスフルな日本社会では、わたしぐらいなのだろうから。それでも、この鑑賞のチャンスに「おお!」と唸り、このプロダクションの雰囲気と音楽に「うぉぉぉ!!!」と唸る人が、1人か2人ぐらい、いたかもしれないと思うと、やはり残念な気分なのだ。

自動的に表示される「おすすめ情報」で満足している好奇心の低いアナタは、この先ますます視野の狭い人間になってしまうことだろう。こうして世の中ますます素直でつまらない人間だらけになるのだ。とほほ。なんとかして好奇心を持ち続けていただきたいものだ。。 わたし自身も気をつけたほうが良い。

6ヶ月間の無料全編公開は終了してしまったのだが、抜粋2本、インタビュー2本、短い宣伝トレイラー動画が残っているので貼り付けておく。

前記事のモーツァルトの有名な人気オペラと違い、ヤナーチェクという作曲家もそのオペラ作品もややマニアックなものなので、あまり気が進まないかもしれない。なにしろチェコ語上演のオペラだ。でも、何故かちょっと気になってしまったら、ちょっとだけチラ見しませんか?

あらすじ

利口な女狐の物語 - Wikipedia

字幕の出し方

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抜粋1 キツネの女の子ビストローシュカ、超ハンサムな雄ギツネさんと出会う。相手も自分に好意を持ってるみたい?「アタシってキレイかしらん」と戸惑うビストローシュカ。雄ギツネさんは「なんてカワイイ子なんだ!誰にも渡さない!」と、ビストローシュカの大好物ウサギを貢物として彼女を口説く。(かわいそうなウサギさん・・・)


EXTRACT | THE CUNNING LITTLE VIXEN 'Jsem-li opravdu tak krásná?' Janáček - National Theatre Brno

抜粋2 フィナーレ。夫婦仲の悪い人間側の主人公と妻。「有り得ない長さ」になってしまった編み物もバッチリ映っているではないか!最後に登場する激カワの子供カエル君もバッチリ映っている! (彼はやはりあの指揮者の息子さんかしら?)


EXTRACT | THE CUNNING LITTLE VIXEN 'Neříkal jsem to?' Janáček - National Theatre Brno

インタビュー1 この舞台セットや小道具を見ても、作品の雰囲気が伝わるだろう。子ども達も沢山出演している。ただし、子ども向けの作品というわけではない。生物が死んで次の世代に引き継がれていくという自然界の営みをテーマにした老ヤナーチェクの作品なのだ。でもね、ヤナーチェクの音楽はますます若々しく生き生きとしていく。 


BEHIND THE SCENES (I) | THE CUNNING LITTLE VIXEN Janáček - National Theatre Brno

インタビュー2

この動画の子役の子たちのようなかわいい地元の子どもたちが、たくさん客席にいたのを思い出す。100年も前のオペラを、子どもたちが、母語チェコ語で楽しめる環境が羨ましい。(どうせ日本なんか・・・)


BEHIND THE SCENES (II) | THE CUNNING LITTLE VIXEN Janáček - National Theatre Brno

宣伝動画


TRAILER | THE CUNNING LITTLE VIXEN Janáček - National Theatre Brno

 

スズキのインスタグラムより当日の画像

www.instagram.com

 

期間限定でオペラを公開しているOperaVisionについて知ったのは、ブルノから持ち帰った無料情報誌(下の画像)だった。ヤナーチェク音楽祭で取り上げる作品の解説や指揮者や演出家のインタビューを掲載した40ページほどの冊子だが、違和感なく読める自然な英語で書かれている。新聞紙のような紙なので、そのうち黄ばんでしまうだろうと思い、今更だが一通り読んで処分しようと思ったのだが、内容が濃いので面白い。ヤナーチェク作品に関する貴重な資料になるかもしれない。

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チェコでは、情報がチェコ語オンリーということもあったが、英語情報があるときは、問題なく読める洗練された英語で書かれていた。違和感だらけの英語が町中でもネットでも氾濫している日本とは大違いだ。

日本の場合は、英語に翻訳される前の原文、つまり日本人が書く日本語に問題がある場合も多い。日本語にしろ英語にしろ、良い文章を見極めることができない人間が日本には多い。目的を踏まえ、読み手が誰であるかを意識し、正確で説得力ある文章を目指して書くべきだ。それなのに、日本人は、まるで自分用のメモのようにテキトーに文章を書いてしまう。レビュー担当の上司がざっと流し読みしてOKを出し、テキトーな文章はそのまま社内外で共有されたり、公開されたり、翻訳に回されたりする。

何かを伝えるという本来の目的を忘れて、「英語対応しています」とアピールするためだけの英語資料や英語表示も、日本ではよくある。

文章力の無い人間に文章を書かせるのも困ったものだ。日本語が母語なら誰でも正しい日本語が書けるというわけではない。帰国子女なら誰でも正しい英語が書けるというわけでもないし、翻訳ができるというわけでもない。

海外にしてもすべての人間が高い文章能力を有しているわけではない。だが、海外では、エリートたちは子どものころから徹底的に文章力やプレゼン能力を鍛えてきた。上(エリート)から下(庶民)まで揃って文章表現力が低いなんて国は、きっと日本ぐらいだろう・・・

翻訳の仕事はあらゆるストレスとの戦いだ。そもそも原文の日本語がダメなのに、それを英語に翻訳したからといって、「国際化」が完了するというわけではないということに、気づいていない人が多い。そんな状況で、まじめな翻訳者が前向きに仕事に取り組んでいけるはずはない。何もかもがアホ臭いと感じてしまう。

我々翻訳者もレベルアップする必要があるのだが、はっきり言ってまったくモチベーションが上がらない。雇い主は日本語にしろ英語にしろ文章の良し悪しを判断する能力が低い場合が多い。良し悪しを判断できる場合であっても、評価は給料に反映されない。雇用主が「能力高い翻訳者を使えてラッキー」と、いい気になるだけだ。いつまでも変わらない低賃金のまま扱き使って、いらなくなったらゴミのように捨てる。つまり、クオリティが高い翻訳ができても、できなくても、翻訳者はみんな一律低賃金で不安定雇用なのだ。能力や向上心が正当に評価されることはない。

早く翻訳という仕事を捨てないと自分の未来は絶望的な状況なのだ。翻訳の世界で研鑽を積むことが無駄であることは、この10年ちょっとで、もう十分理解した。無駄な努力を続けてきた自分がアホだった。

だから、日本では、優秀な翻訳者が増えることは決してない。

こうして、低レベルな日本語の原稿をベースにしたダサい英語や無難で面白味の無い英語が、日本各地の町中やネットで、いつまでも増殖し続ける。

日本はそんな状況だから、チェコで手にした音楽祭の英語冊子を素晴らしい出来だと思った。音楽祭の宣伝は、読み手に興味もってもらうために、魅力的な文章・内容でなければならない。魅力的な文章・内容だったから、とても感心した。

 

ああ、それにしても、わたしがこんなに日本や社会や人生を否定するようになったのは翻訳という仕事のせいかもしれない。かれこれ10年以上、わたしは人間ではない、自分はロボットだ、翻訳マシーンだと言い聞かせて生きてきた。もはや職場でも実家でも便利なロボットでしかない。「ありがとう」がうれしくない。それは「あなたが便利で良かった」というだけの意味に過ぎないのだから。とほほ。「この曲、気に入った!このピアニストいいね!教えてくれてありがとう!」という「ありがとう」は、とってもうれしいのにな。

自分の人生、残り3年で終わってくれるといいな。

ああ、自分の年齢(明言していないが読者ならだいたいわかる)の人間に人生残り3年でいいなんて言わせる国が良い国なはずない。最悪な国だ。そんな国、わたしがヨーロッパを旅している間に海底に沈んでしまえばいい。

そんなわけで、いろいろ考えて気分が落ち込んでしまい、どうしようもないので・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際航空券の手配完了

旅先はもちろんヨーロッパ。時期はだいぶ先。その日まで「ロボット」の気分でなんとか頑張ろう。また予習で忙しくなる。しっかりしろ自分。職場でも実家でも心を無にして乗り切ろう。わたしには関係ない。

こうしてまた少ない貯金が消えていく。人生残り3年なら失業病気予備費とか親の世話費用とか自分の老後費用とか不要なのになぁ。わたしの人生、早く終わってくれ。

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