インスタ・バロッカ もしバロック時代にインスタグラムがあったら・・・フルート界の大スター クヴァンツ氏の場合

スズキ、お友達になりたい人を見つけたのです。

フルート奏者のヨハン・ヨアヒム・クヴァンツさんです。

彼は1697年ドイツ生まれで、ドレスデンで音楽活動をしていたけど、それからフランス、イタリア、チェコ、イギリスなど、各地で演奏や勉強をしながら、現地の人気音楽家たちと片っ端から会いまくって超積極的に交流して、たくさん刺激を受けてドレスデンに戻ってきたのです。

きっといろんなお話をしてくれるので、スズキはとっても嬉しそうにクヴァンツさんの話を聞くことでしょう。

もし彼の生きた時代にインスタグラムがあったら、彼は自慢げにヨーロッパ各地から写真を投稿しまくっていたに違いありません。(ちょっと鬱陶しい?笑)

とっても忙しいはずのスズキは、またパワポで余計なお絵かきをしてしまいました。

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クヴァンツさんは、イタリアのナポリで、ついにあのビッグスターと歓談することになりました。

そのビッグスターというのは、オペラ歌手のファリネッリさんです。ファリネッリさんは「カストラート歌手」です。「カストラート歌手」は男性なのですが、ある特殊な方法により、大人になっても少年のような高い声を維持できるようになった歌手のことです。魅力的な歌声で人々を惹きつけるカストラート歌手は大人気でした。その中でも1位2位を争う人気を誇ったのがファリネッリさんです。

そんなファリネッリさんとお近づきになれたことは、最高に素晴らしいことだとクヴァンツさんは生涯思っていたそうです。

 

参考動画

現代のカウンターテノール歌手フィリップ・ジャルスキー(カストラート歌手ではない)CD「ファリネッリ」より


Philippe Jaroussky dans l'émission "Entrée libre" sur France 5

バロック時代にインスタがあったら、各地を旅するユーザーたちの共通言語はもちろんラテン語だったはず。そこで、Google翻訳で「with ファリネッリ」をラテン語に変換してみました。合っているかどうかは知りません。イタリア語と同じConかと思ったら、違うらしいです。

コメント欄で、ドイツ語で「良かったね」と言っているゼレンカという人は誰かですって?

いいところに注目しましたね。ゼレンカさんはクヴァンツさんの師の一人です。ボヘミア(現チェコ)生まれでドイツのドレスデンで活躍した作曲家です。

わたしは去年、ゼレンカさんという作曲家を知りました。チェコ旅に関連する下調べで出会ったのか、手当たりしだい古楽を聴きあさったときに出会ったのか、今となってはよくわからないのですが・・・

チェコを拠点に活動する古楽アンサンブル「コレギウム1704」の演奏でゼレンカ作曲「諸聖人のミサ」をお聴きください。狙っている音楽祭の1つ、オランダのユトレヒトの古楽音楽祭での演奏です。去年、この動画を気に入って数回再生しました。


Zelenka: Missa Omnium Sanctorum, ZWV 21

 

クヴァンツさんのインスタに「いいね」している friedrich_II というアカウントも気になりますよね?

そうです。フルートを溺愛するフリードリヒ大王のアカウントです。各地を旅してドレスデンに戻ったクヴァンツさんは、ベルリンにいるフリードリヒ大王に気に入られて後にかなりの高給で雇われます。大王のためにフルート演奏の指導をしたり、作曲したり。大王は自ら熱心にフルートを演奏するほどフルートが大好きなのです。クヴァンツさんがイタリアを旅していた頃は、2人はまだ出会っていなかったと思われますが、もしかしたらそのときから密かに大王はクヴァンツさんを狙っていたのかも・・・(スズキの妄想)

しかし、カストラート歌手ファリネッリはロックスター並みの人気だったそうですよ。そんな大スターとのツーショットを載せてしまったからには、ファリネッリファンの女性たちから「ずるい」の声があがって炎上してしまったりしないのか、ちょっと心配になります。

 

今回、クヴァンツさんという人物を知ったきっかけは、こちらの本でした。

(画像クリック→Amazon)

バッハ・コレギウム・ジャパンでフルートを演奏している前田りり子さんの著作です。ブログを読んでいるような感覚で気楽に読めます。

フルートの歴史の本です。

通りすがりのそこのアナタ、歴史はお好きですか?

変化していく世の中はお好きですか?

お好きですか???

時代と共に変化するものに異常なほど興味を持つスズキとしては、この本を非常に楽しく読ませていただきました。

一方で、わたしはフルートの演奏経験が無いので運指(フィンガリング)の話が分からないし、音程や調に関する話もよく理解できませんでした。

でも、フルートは、自在に音程を調整できる弦楽器とは違うということは理解できました。

出せない音、出しにくい音を、安定して出すために、時代を超えて、何度も何度も試行錯誤して楽器を変化させてきたのです。実験を繰り返して、何百年もかけて、ようやく今の形に至ったのです。

新しいフルートが開発される度に、保守的な人々から凄まじい反発があったようです。才能豊かな名フルート奏者たちは、不安定な楽器の欠点を名人技で埋めて演奏していたので、新しい楽器など要らなかったらしいです。でも、欠点が改善されたからこそ、今では多くの人々がフルートの演奏に挑戦できるようになったのです。

一方で、楽器の変化により、音程や音量は良くなったけど、フルートから独特の音色・ニュアンスが失われていったというのも事実です。

わたしがクラシック音楽にはまる理由の1つは歴史なのでしょう。

クラシック音楽は時代と共に大きく変化してきたし、ヨーロッパの歴史、芸術分野に限らず、政治経済社会などあらゆる時代の流れの影響を大きく受けて発展してきたからこそ、わたしは夢中になってしまうのです。学んでも学んでも結局のところ知らないことだらけです。この本を読んで、改めてそれを感じました。

では、最後にバッハの「無伴奏フルートのためのパルティータ」をお聴きください。タイムリーに、昨日公開されたばかりのオランダ・バッハ協会のチャンネルの動画です。


Bach - Flute Partita in A minor BWV 1013 - Root | Netherlands Bach Society

J. S. バッハは、フランス出身のフルート奏者ビュファルダンのためにこの曲を作曲したのだろうと言われているのですが、ビュファルダンはクヴァンツのフルートの師なのです。

バッハの頃はフルートは「フラウト・トラヴェルソ」と呼ばれていましたね。縦型リコーダーに対する「横向き」の笛という意味です。ご覧ください。木製のフルートです。吹き口は、よく見えないけど、現代のフルートみたいに一部盛り上がった部分はないはずです。あの盛り上がった部分は、かなり後に加わったそうです。完全に筒型のフルートなのかしら?少し絞りの入った円錐型なのかしら? キー(遠くの穴を押さえるためのマジックハンドみたいなの)は、このフルートには付いてないですね。それから・・・

 

スズキ、いつかフルート奏者のピアノ伴奏をするかもしれません。お楽しみに・・・

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