鑑賞メモ2020年|英国ウィグモア・ホールのコンサート動画配信 3

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カテゴリー名の刷新に合わせて、カテゴリー用の画像を作った。

気に入ってくれたかな?

そうかい。それは良かった。

【クイズ】ところで、これはどこのホールの写真でしょう?

 

 

イギリスのウィグモア・ホールで開催中の秋シーズンのコンサートは30日間限定で自宅から鑑賞できる。

公開されたウィグモア・ホール公演を全て視聴するのは時間的に難しい。本当は全公演を聴きたいのだが無理だ。

今回も、既にわたしが鑑賞した3つの公演を簡単にご紹介する。感想と言えるほど丁寧な感想は書かないことにする。

ウィグモア・ホール公演の記事は、動画の公開期間が終了したら削除する。 

 

 

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イアン・ボストリッジ(テノール)

イモージェン・クーパー(ピアノ)

ベートーヴェン、シューマン


Ian Bostridge & Imogen Cooper - Live from Wigmore Hall

 

ベートーヴェンの歌曲に続き、シューマンの「リーダークライス」を歌った。シューマンの「リーダークライス」は2作品あるのだが、今回ボストリッジが歌ったのは私が知らないほうの「リーダークライス」だった。

最後のアンコールにぶっ飛んでしまった!何これ!面白い!!

ドイツの文豪ゲーテ作「ファウスト」の中で学生たちが酔っぱらってふざけてバカな歌を歌っているのだが、大雑把に言うとこんな内容だ。

Es war einmal ein König
昔々あるところに王様がいました。
王様は巨大なノミを息子のようにかわいがっていました。
仕立屋を呼んでノミのために立派な服を作ってやりました。
ノミは国政でも大出世しました。ノミの一族が大活躍。
しかし同僚や王宮の人々はノミのせいでいつも痒くて仕方ない。
それでも、王様がかわいがっているので、ノミを潰すことは許されない。。。

でもオレら(酔っぱらってる学生たち)は、ノミのヤツが刺してきたら、速攻潰ぶしてやるぜ!(だから、オレらはラッキーさ!みたいな?)

ぷぷぷ。文豪の傑作ではないか! ロマンチックな詩や劇的な詩も沢山あるだろうに、敢えてこの詩を選んで歌にしたベートーヴェンも素敵だ!(この曲をアンコールに選んだボストリッジさんも!)

この笑える詩は作曲家たちに人気だそうだ。調べてみたら、意外な人がこの詩で作曲していた。1人はなんとリヒャルト・ヴァーグナーだった。もう1人はフランツ・リスト。リストの方は男性ソロ歌手+男性合唱という構成の曲。気になるならYouTubeで探してみてね。


 

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ロビン・トリッチラー(テノール)

グラハム・ジョンソン(ピアノ)

シューベルト


Robin Tritschler & Graham Johnson - Live from Wigmore Hall

歌手もピアニストも初めて知る名前である。歌手はアイルランド出身。ピアニストはハイペリオンレーベルでシューベルト歌曲全曲を録音したという。「学者」と言われるのも納得。それにしてもシューベルト歌曲をすべて演奏したなんて、幸せな人生だ。シューベルトは31年の生涯で600曲超の歌曲を生み出した。自称シューベルトさんファンのくせに、わたしはまだ大部分を知らない。 

今回発見したのは、わたしはシューベルトが作曲した「戦い系」の歌曲がかなり好きということ。神話や古代史に関連するものである。以前聴いたことがある中ではCronnan (Ossian), D 282とかHektors Abschied (Schiller), D 312がある。このプログラムでは以下の2曲。

  • Memnon D541(メムノンは古代ギリシャの軍人)
  • Philoktet D540(ピロクテーテースはギリシャ神話の英雄)

それから「戦い系」かどうかはよくわからないが、同じく神話・古代史関連の詩の曲である下の1曲。上の2曲に続いて歌われた。

  • Atys D585(アテスはローマ神話の王)

動画の28分から始まる。このような曲が気になる人・・・などいないだろうけど、もしいれば聴いてみて。

「戦い」や神話系のシューベルト歌曲には、ヴァーグナー的なものを感じる。憂いを帯びた勇者・・・みたいな。救いようのない絶望感とか。わたしだけだろうか?

 

 

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アンドラーシュ・シフ(ピアノ)

ヤナーチェク、シューマン


Sir András Schiff - Live from Wigmore Hall

シューマンの「ダヴィッド同盟舞曲集」は前半すべて、ヤナーチェクのピアノソナタ「1905年10月1日の街角で」は第1楽章のみ、自分で練習したことがあるぐらい好きな曲である。

聴くのは久し振りだ。

なぜか?

こういう感覚をお分かりいただけるだろうか?自分で一生懸命弾いてみた曲を改めて聴くのを「恐い」と思う感覚。弾けもしないのに挑戦したバカな自分。結局うまく弾けなくて悔しかった記憶。そんな想いが押し寄せてきそうで恐いのだ。好きだから挑戦したのに、挑戦後は遠ざかってしまう、なんだか残念な関係。

で、実際にこうして改めて聴いてみると、全然恐がる必要などないことが分かるのだ。久し振りに聴いて、やはり偉大な曲であり大好きな曲であると再確認するのである。

それにしても、他の皆さんは1時間程度の演奏なのに、なぜシフさんとアンジェラ・ヒューイットさんは2時間近く弾くのだろう。。。 ご本人たちがそう希望したなら、誰も止められないのだろうけど。

締めはシューマンの「幻想曲」。ある年、わたしはこの曲を3回も生演奏で聴いた。ル・サージュさんは前回のリサイタルに続き「また」弾いたし、その他に確かアンデルさん(ピョートル・アンデルシェフスキ)とペヌティエさんがこの曲を弾いたように思う。みんな弾きすぎだ。他にも良い曲あるのに・・・と少々食傷気味な気分になったことがある。

まあでも、やはり久しぶりに聴くと、文句なしの美しい名曲であることは疑いようがない。

シフさんは、まるで自宅のリビングルームで演奏するかのように、緊張感なくサラっと弾き始めて、大曲を披露する。お茶を飲みに来た近所の人が目を丸くして驚いているのに気づかずに弾き続ける・・・なんて感じで。コップ持ったままお辞儀してたね(笑)
 

 

 

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