パーセル作曲 "Music for a While" カウンターテノール歌手のオルリンスキ&アカペラグループの The King's Singers 版

ちょっとパーセルさん!

こっち来て!これを聴いて!

パーセルさんの曲だよ。

スゴイね。感動だね。

あらあら、パーセルさん瞳がうるんでますよ・・・


Music for a while (Purcell) - The King's Singers & Jakub Józef Orliński

 

これは歌ってみたくなるわよね。詩を用意するわ。

Music for a while
Shall all your cares beguile.

Wond'ring how your pains were eas'd
And disdaining to be pleas'd
Till Alecto free the dead
From their eternal bands,
Till the snakes drop from her head,
And the whip from out her hands.

Music for a while
Shall all your cares beguile.

 

たのしく歌えたかい?

ちょっと難しい?それでは楽譜と詩がある動画で2~3回練習してみるといいわよ。


Henry Purcell: Music for a While – Z 583

 

それでは、もう一度ヤクブ・オルリンスキ Jakub Orlinski &キングズ・シンガーズ The King's Singers 版を再生して歌ってみよう。

うん、いい感じよ。その調子で。はい、もう一回。

 

オルリンスキと King's Singers のメンバーたちは、今年のロックダウン中に、チャットでやり取りして「コラボしよう!」ということになったそうだ。今月、その企画がようやく形になってリリースされた。

対面で録音したのか、バラバラに録ったのか、よく分からないが、リモート演奏風の映像はなかなか「今」らしくて良い。一方で、昔のブラウン管テレビのような曲面が少し懐かしい。

*追記 レーベルWarner Classicsのインスタ投稿によると、本当にリモートで録音したそうだ!!

そこに、たっぷり憂いを込めた表情でオルリンスキが登場。

最後もまた、たっぷり憂いを込めたお顔でフェイドアウト。

イギリスのKing's Singersは1968年に結成された伝統ある声楽グループ。メンバーを入れ替えて今に至る。少年合唱団に所属していたオルリンスキ少年にとって、King's Singersは憧れのスターのような存在だったそうだ。

こんな最高レベルのアンサンブルを楽しめるなら、スズキは珍しく張り切ってアルバムを購入しよう!

他にどんな曲が入っているのかしら?!

ドキドキ ♪ ワクワク ♪ ドキドキ ♪ ワクワク・・・

 

 

 

 

 

YouTubeの説明欄にあるレーベルへのリンクをクリックした。

すると、ポツーーーーーン とこれ1曲だけが鎮座していた。

あれれ?(涙)

リリースされたのは1曲だけだったのだ。アルバムではない。

ぐすん。ガッカリ。60分ぐらい幸せな気分を味わえると思ったのに。

(音楽界はわたしの購買欲のツボを知らなすぎる。もっと顧客を分析研究してくれ!)

 

気を取り直して、曲について少しだけ詳しくなろう。

イギリスの作曲家ヘンリー・パーセル (1659-1695) の劇付随音楽の1つである。演劇が盛んなロンドンではオペラより劇が人気だった。作曲家たちは劇の途中で演奏される曲を作った。

Music for a While は、劇作家ジョン・ドライデンとナタニエル・リーの共作「オイディプス」のための音楽。

ドライデンたちはギリシャ神話のオイディプスの話をベースに、自分たちのオリジナルを入れながら戯曲を書いた。

ギリシャ神話のオイディプスについて簡単に復習しよう。

テーバイの王ラーイオスは「息子に殺される。息子は妻(息子にとっては母)と交わり子を設ける」と神託を受けたので、生まれた子を殺すように命じた。

子は山に捨てられたが、拾われてオイディプスと名付けられ、隣国の王の子として育つ。

成長したオイディプスは「オイディプスは父を殺す。母を妻にする」と神託を受けたので、隣国の王を本当の父だと思っているオイディプスは、罪を犯さぬよう、国を出る。

オイディプスは道で出会った男を殺した。その国の王になり、その男の妻と結婚した。だが、その後、殺した男が自分の本当の父であり、妻は母であることを知り、オイディプスは罪悪感のあまり自分の目を刺し盲目になる。

(そうそう、そうだった。思い出した。)

 

Music for a While がどの場面で使われている曲なのか知りたかったのだが、ドライデンたちによる劇のウィキペディア(英語)は基本情報を提示しないまま、背景や作品解説ばかり続くのでよく分からなかった。

ミシガン大学のサイトに劇の原文がある。参考にしよう。場面は第3幕の場面1である。

パーセルがこの劇のために作曲した4曲は続けて演奏されるようだ。Music for a Whileは2曲目。4曲目には死んだテーバイ王ラーイオスの亡霊が登場する。となると、Music for a While で歌われている「死んだ者」はラーイオスなのだろうか?

真っ暗闇の中で音楽はスタートするらしい。そして、亡霊の登場で強い光が放たれる。ということは、亡霊を呼び出すための音楽という理解で良いのだろうか。

音楽が始まる前に言葉を発しているのはテイレシアース。「まず、音楽を。それから歌を」と言っている。

調べてみると、テイレシアースはギリシャ神話に登場するテーバイの預言者。なるほど。彼が王の亡霊を招いている場面か?

 

もう1度、歌の部分のテキストを見てみよう。

Music for a while
Shall all your cares beguile.

Wond'ring how your pains were eas'd
And disdaining to be pleas'd
Till Alecto free the dead
From their eternal bands,
Till the snakes drop from her head,
And the whip from out her hands.

Music for a while
Shall all your cares beguile.

 

アレクトー Alect はギリシャ神話に登場する復讐の女神3人組の1人。頭の髪はよく見るとヘビで、手には鞭を持っている。人殺しなど、罪を犯した人を恐ろしいパワーで徹底的にこらしめるらしい。

追記:アレクトーにちなんで画像を作ってみた↓

www.music-szk.com

 

つまり・・・

王が殺された → 復習の女神アレクトーが殺人者をこらしめて、殺された王が「解放」されるまでは、王の魂を音楽で癒そう 束の間の音楽で・・・

という内容の詩という理解で良いのだろうか?

 

何はともあれ、この世とあの世の間をふんわり飛んでいるような気分にさせてくれる美しい音楽だ。

もう1度聴いてみよう。もう1度歌ってみよう。


Music for a while (Purcell) - The King's Singers & Jakub Józef Orliński

 

あ、この音楽を何度も聴くと翌日も頭の中でリピートされます。気を付けてね。(もう遅い?笑)

King's Singersにもカウンターテノールがいますね。調べてみると2名も!カウンターテノールが複数のアンサンブルの響きは豪華でカッコイイ。

オルリンスキと合わせると3人カウンターテノールか・・あと1人いたら「アルタセルセ」できるね!

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