鑑賞メモ2020年|フィンランド国立歌劇場 COVID FAN TUTTE(笑)

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あのねぇ・・・

ちゃんとスペルチェック機能を使いなさいって、スズキは何度も注意したよね。

赤い波線が出ないからって油断したらダメだよ。チェック機能が無効になっている場合があるのよ!

そこの依頼者もさぁ、翻訳依頼するなら原稿のスペルチェックを無効にしないでよね(怒)

よりによってこんな単語と間違えるなんて恥ずかしいよ。

え?何?

間違っていないの?!?!

マジで?!?!

COVIDだよ!?!?

ということで、フィンランド国立歌劇場の「コーヴィッド・ファン・トゥッテ」をYouTubeのOperaVisionチャンネルで鑑賞した。モーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」の音楽をベースに制作したオリジナルオペラである。

以下はネタバレになるので、先に鑑賞したい人は、まず鑑賞しよう。

鑑賞する予定はないが鑑賞メモだけ読みたい人、鑑賞メモを読んでから鑑賞したい人はスクロールして記事の続きを読もう。


COVID FAN TUTTE – Finnish National Opera and Ballet

 

 

 

 

 

モーツァルトのオペラを勝手にこんなに変えちゃっていいのか? スズキ個人的には全然OKだ。COVID-19にはオペラ界も大打撃を受けたのだから、皮肉の一つや二つ飛ばしてやろうぜ。

強烈な批判などが盛り込まれているのかと思ったら、そうではなかった。森と湖の平和な国フィンランドらしく、平和な雰囲気を保ったまま、面白おかしくコメディー風に「フィンランドではこうでした」という物語を作り上げている。

では鑑賞メモをどうぞ。

  • 「音楽:ほとんどモーツァルト」というから、モーツァルトが聴こえてくると思って開始を待っていたのに、あれれ?

    ん?それ!!
    フンディングの家の場面の音楽(「ヴァルキューレ」の始まりの音楽)ではないか(笑)! 拍子抜けして笑えた。あの不吉な予感がプンプン臭う音楽で笑うことがあるとは!!

  • そんなわけで、歌手たちはもともとヴァーグナー作品を歌う予定だったので、急にモーツァルトをやると言われて文句ばかり。冒頭では、女戦士の格好のヴァルキューレたちや片目眼帯のヴォータンが姿を見せる。その後もことあるごとに「自分はヴァグネリアン歌手だ」とかバイロイトがどうとか、未練たらたらのご様子。

  • 見所はデスピーナ越えの変幻を見せたフィンランドを代表するオペラ歌手カリタ・マッティラだろう。

    デスピーナ(原作) → 女中 → 怪しげなニセ医者 → ニセ公証人

    カリタ・マッティラ → 世界的オペラ歌手マッティラ様 → マスク販売詐欺グループの一員 → 老人扱いされて怒る70才超の遊び盛りマダム → 怪しげなニセ医者 → テレビのコメンテーター? → なぜかドナルドダック風の銀行マンとして鼻声で歌う(漏れがあったらゴメン)

    カリタ・マッティラの圧勝だ。

    ドナルドダック?登場でもディズニーさんはスルーしてくれるらしい。

  • 白い高級服と白い高級バッグで「いかにも」な格好で登場した世界的歌手マッティラ様は、コロナ禍でフィンランドで足止めされてご機嫌斜め。パリやミラノやチューリッヒのオペラ出演やソロリサイタルのことをいつまでも携帯でチクチク語る。

    レンタルアパートで寂しく過ごしていたところ、携帯電話が鳴る(着信音はヴァルキューレの騎行)。

    「え?フィンランド国立歌劇場?知らないわよ。」と、フランスやイタリアではない歌劇場からのオファーに不満げ。(自分たちのオペラハウスはマイナーだというフィンランド的な皮肉。)でも、マッティラ様は「中心的な役」と言われて、一転して喜んで出演を承諾。

  • 中国やイタリアのニュースを、のほほんと眺めていたフィンランド人たちが「ヤバイ」と思ったのは、アルプスのスキーリゾートでクラスターが発生した時だったらしい。向こうでスキー休暇を楽しんでいるフィンランド人がウィルスと一緒に帰ってくる・・・恐怖だ!

    雪国フィンランドの人々もわざわざ外国のスキー場に行くのか!?と思ったのだが、そういえばフィンランドは湖と森ばかりなので山があまりない。自然の斜面を滑りたいなら、やはりスイスやオーストリアあたりに行くのだろう。

  • ヴァーグナーの女戦士を歌うはずだった女性歌手2人はフィンランドを代表するブランド、かわいいマリメッコのドレスにお着換え。(案外、気に入ったようだ!しかもよく似合う!見てあげて!)

  • ロックダウン中の出来事は、四苦八苦のオンライン授業の先生、絵を飾って張り切ってオンライン会議に出るつもりだったのに接続できずに諦める人、料理が不得意で毎日オートミール粥と缶詰のエンドウ豆スープばかりの悲劇の人、マスクで何言っているか分からない残念な人などなど。

  • 原作では戦場に向かう合唱。合唱団の皆はリモート映像で出演して「トイレットペーパーを買わなきゃ!消毒液も買わなきゃ!」とコロナ禍あるあるの買占め行動を思わせる歌を歌う。ナポリを出る兵隊たちの船は、帆の代わりにマスクが貼られていた・・・(笑)

  • おもしろいのは、恋のセレナードは、母の日なのに会えない高齢の母を想う切ない息子心の歌になってしまったこと(笑)

  • ロックダウン中、マッティラ様が演じた70才超のおばさまは、年寄り扱いされて、家に閉じ込められて、イライラを募らせる。アタシまだイケてるわよ、と言わんばかりにハイヒールとセクシーな衣装で自由を求めて闊歩する。イケないモノだって吸引しちゃう!

    マッティラさんコミカルだし大胆でおもしろい!今年METのDVDで「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のエーファ役を聴いた(もちろん、かなり前の)。去年はプーランク「カルメル会修道女の対話」で壮絶な死を迎える修道女長。大スターなのに、次々と変身して笑いを取るとは・・・そんな「才能」は知らなかったなぁ。

  • 徐々にやる気が失せてきた歌手たち。「喉が痛い、調子悪い」とか、だらだら出会い系アプリで遊んだり。おや?出演者同士が出会い系でマッチング?突然、盛り上がるも「ソーシャルディスタンス」を気にする2人。消毒液と透明のアクリル板が利用される。

  • その「調子が悪い」と訴える歌手のために医者が呼ばれたのだが・・・やはりデスピーナ(マッティラ)だった!怪しすぎる薬剤を強烈な方法で投与。ひぇー!!
    絶対それイケない薬でしょ。みんなラリった状態で例の決め台詞が出た!「コーヴィッド ファン トゥッテ」(笑)

  • 赤い服の女性ダンサーが新型コロナ役である。近づかないように気を付けよう。最後に虫取り網で捕獲されたのだが、しばらく経ったら籠の中で元気に踊り出したので、まだ感染力は強そうだ・・・

  • モーツァルトさんは一言もしゃべらなかったが、みんなの手に消毒液をかけてくれた。

  • カリタ・マッティラ以外の歌手は知らないのだが、きっと世界的に活躍するフィンランド出身のオペラ歌手たちなのだろう。全編フィンランド語。指揮は日本でもお馴染みのエサ・ペッカ・サロネン。

  • 歌劇場のお客様対応係?の冷めたシュールな小言も聴いてあげよう。ホールの椅子が快適過ぎてみんな寝ちゃうから、教会の簡素な木のベンチに変えた方がいいとか(笑)

 

operavision.eu

 OperaVisionサイトの説明によると、モーツァルトの時代もまだオペラを自由に改作することが可能な時代だったそうだ。

モーツァルトもきっとこのプロダクションを気に入ってくれるだろうとサロネンさんも言っている。

今回のプロダクションでは、バリトン(グリエルモ、ドン・アルフォンソ)のパートをソプラノが歌ったり、「ドン・ジョヴァンニ」や「魔笛」の音楽が紛れ込んでいるそうだ。全然気づかなかった。。モーツァルトの色んな音楽が頭の中でゴッチャになっているので・・・

さらには滅多に歌われないウィーン初演時の「もう1つのバリトンのアリア」も今回の制作に含まれているそうだが、わたしには分からなかった。

なんと、ただ笑わせるだけでなく、通好みの要素をいくつも入れていたのね。

ふふふ。皆さんは気付きましたか?

 

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