鑑賞メモ2020年|ミネッティ弦楽四重奏団 ウィーンのMuThでの公演

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日本は不思議な国だ。こんなにクラシック音楽が演奏されているのに常設の弦楽四重奏団がほとんど存在しない。(クァルテット・エクセルシオぐらいよね?)一方、ヨーロッパでは過去から現在まで把握できないほど無数のプロの四重奏団が活動している。

冗談ではないのだが、本当に四重奏団が多すぎて把握できない。。。

そんな中で、わたしにとって特別な四重奏団であり、超オススメしたいのがオーストリアを拠点に活動するミネッティ弦楽四重奏団 Minetti Quartett だ。

12月3日にウィーンで無観客コンサートがあったので、さっそくオンデマンドで鑑賞した。MuThというホールについては知らなかったのだが、2012年にオープンしたウィーン少年合唱団のためのホールらしい。合唱の他に室内楽の演奏も開催されている。


Minetti Quartett: Haydn und Dvořák

演奏曲はハイドンの第66番Op. 77-1ト長調とドヴォルザークの第12番ヘ長調「アメリカ」。

生き生きとした清々しい音が気持ちいい。個々が思い切り存分に演奏していて、それでいて音楽としてもまとまっている。それがヨーロッパの実力ある四重奏団の魅力。

うれしいな。ミネッティQのLive映像は貴重なのだ。1時間も演奏している映像は初めてかもしれない。この動画がいつまで公開されるのか、半永久的に公開してくれるのか、よく分からないのだが、気になるならぜひ早めに視聴していただきたい。かなり貴重な映像である!

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わたしにとってミネッティ・クァルテットの演奏といえば、夏のオーストリアの朝、緑の山と森が広がるシューベルティアーデで聴いた演奏。すっきり晴れた美しい青空にまったく負けてないスカッと爽快な演奏だった。

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そのときの演奏曲はベートーヴェンの弦楽四重奏曲だった。それからクラリネットのポール・メイエなど4名が加わってシューベルトの八重奏曲。何もかも信じられないぐらい最高で、例によってまた最前列で鑑賞していたわたしは興奮しまくっていた。

会場で、日本の方かもと思って「こんにちは」と声をかけてみたら、日本出身のピアニストの方だった。娘さんが四重奏団で演奏していると仰るので驚いた。第2ヴァイオリンのアンナ・クノップ Anna Knoppさんのお母様のナオコさんだった。

それから、ご好意に甘えて何故かわたしまでさっきの演奏者たちやご家族などが楽しむランチの席に座って・・・ ぐすん。なんと幸せな時間だったのだろう。

もう音楽鑑賞を目的にヨーロッパまで旅をすることなど許されないのだろうか。今後しばらくの間は。そう思うと泣けてくる。

あれから5年。

ミネッティ・クァルテットの皆さんは、あの日なぜか同じ場所にいた変な日本人スズキのことなどもう覚えていないだろう。

それでも、自分の音楽人生の中でこんなに劇的な出来事は滅多に起こらないのだから、ミネッティ・クァルテットはわたしにとって永遠に特別な四重奏団である。

あのとき、アンナさんは「対応してくれるマネジメント会社がないから、ミネッティ・クァルテットはあまり日本で演奏する機会はない」と言っていた。確かにその通りで、それ以降、注意してよくチェックしていたものの、日本の公演情報でミネッティの名前を見ることはなかった。

今後のヨーロッパや日本の状況は分からないが、いつかまた往来が自由になったら、日本のホール関係者の皆さんにはぜひミネッティ・クァルテット来日を企画していただきたい。

いや、それより、わたしが向こうに聴きに行くほうがいいかもね。シューベルティアーデとかね。

 

 

さて、滅多に演奏映像が公開されない四重奏団だが、チェロ担当のLeonhard Roczekさんのこちらの動画↓は以前からわたしのお気に入りである。ピアノを弾いているのはわたしの憧れの1人であるヘルベルト・シュフ。(ちなみに2015年のシューベルティアーデ訪問の第1目的はこのピアニストの演奏を聴くことだった。)

わたしにとって音楽は知への入り口であり、癒しの道具ではない。それでも、この音楽にはとことん癒される。


Spiegel im Spiegel for Cello and Piano (Arvo Pärt)

 

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