英国ロンドンのウィグモア・ホールのYouTubeチャンネル

前記事の続きではないのだが、日本の音楽シーンに飽きてしまった人は世界に目を向けよう!遠慮することはない。アナタの楽しみはどんどん広がっていく。怖くないからこっちにいらっしゃい。

そんな皆さんにイギリスはロンドンのウィグモア・ホールをご紹介する。

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まずは公演スケジュールご覧いただき、ウットリ夢気分。

ウィグモア・ホール公演カレンダー

 

それから、ホールのYouTubeチャンネルを登録しよう。

www.youtube.com

 

1月のロンドン旅の目的の一つは言うまでもないが、老舗ホールであるウィグモア・ホールで音楽三昧することだった。客席数は550席。オーケストラ用のコンサートホールではない。室内楽やリサイタルなどが演奏されている。

www.music-szk.com

 

ウィグモア・ホールの凄いところは、年間で約550の公演(英語版ウィキペディアによる)を手掛けているところだ。

これは驚異的な数字だ。

 

たとえば東京を代表する小ホールの1つである王子ホール(銀座)では、主催公演は年間約40ぐらい。(ケタが違う!)その他の公演は演奏者やコンサート企画者がホールを借りてコンサートを開催している。もちろん貸しホールとしての公演にも素晴らしいものもあるのだが、中には客席は演奏者の友達・家族・親戚・関係者ばかりという公演もある。

 

ウィグモア・ホールは、クラシック音楽の室内楽やリサイタルの専用ホールとして世界で最も有名なホールと言える。当然、演奏者も一流の演奏家たちが呼ばれる。貸しホールではなく、すべての企画にウィグモア・ホールが直接関わっている(よね?たぶん)。公演内容の充実度は極めて高い。そんな充実度の高い公演が毎年550回も楽しめる。1日に2~3公演も聴ける日もある。よだれが垂れそうだ。

いや、たとえロンドン在住だとしても550回も行くお金も時間もないけどさ・・・ でも、550の選択肢の中から行きたいコンサートを選ぶなんて、ありえないぐらい至福でしょ!?羨ましすぎる!!

 

何と言っても550もの公演を企画するパワーに圧倒されてしまう。音楽にかけるその情熱!!トップクラスの演奏者たちとの交渉、音楽に携わる者同士として信頼し良い関係を結び協力し合うこと、常にヨーロッパなどクラシック音楽界の話題を追って最新情報を把握しておくこと、プログラム冊子の用意、公演の宣伝、公演以外の各種イベント、より良いホールにしていくための戦略・・・ ああ、スズキはウィグモア・ホールに就職したい。

 

名古屋の宗次ホール(カレーチェーンCoCo壱番屋の創業者が私財を投じて設立した室内楽ホール)が目指しているのはウィグモア・ホールなのだろう。宗次ホールは貸しホールではなく、ホール自体が全公演にかかわっている。年間公演数は400回に迫る勢いらしい。すごい。素晴らしい。いつか行ってみたい。スズキもビジネスで一儲けしてスズキホールを作りたい!(え?!)

 

一方で、ハッキリ言ってしまうとスズキは極端なヨーロッパ贔屓なので、どうしてもヨーロッパ出身者やヨーロッパを拠点に活動する人だらけのウィグモアホールに目がハートになってしまうのだ。ヨーロッパ各地から飛行機で1~2時間でアクセスできるロンドンは、簡単に演奏家を呼べるのだ。日本は僻地だ。こればかりはどうしようもない。

 

そんなウィグモア・ホールがYouTubeチャンネルを開設していたことを、わたしはうっかり忘れていたのだろうか?

あるいは以前チェックしたときは投稿動画が少なくてあまり魅力的ではなかったからチャンネル登録をせずにチャンネルの存在自体を記憶から無くしてしまったのだろうか・・・

1月の終わりごろ、来シーズンの内容速報をYouTubeのライブストリーミングで公開するという情報がホールのインスタグラムに出ていた。

「あれれ?ウィグモア・ホールのYouTubeチャンネルなんてあったかしら?」と思ったのだった。

来シーズン速報を伝えるイベントの動画は、ホールディレクターによるトークの他に、複数のアーティストによる生演奏も含まれていて、気合い入りまくりのイベントだった。

場所はもちろんウィグモア・ホールで客席にはお客さんも入っている。エンドロールに来シーズン出演予定アーティストの名前がズラリと出ている。

 

おや?

ウィグモア・ホールのYouTubeチャンネルには、他にもライブストリーミングがあるではないか。一部のコンサートの様子をそのまま全世界に提供してくれていたとは・・・


Francesco Piemontesi Live from Wigmore Hall

フランチェスコ・ピエモンテージが去年秋に演奏したシューベルトのプログラムの動画を再生してみた。曲目は以下の通り。

シューベルト 4つの即興曲 D899 作品90
(休憩)
シューベルト ピアノソナタ第17番 D850 ニ長調

響きの良いホールのキラキラ★スタインウェイなのに、まるで古いピアノのような抑えた音色で始まるシューベルト90-1が心地よい。なぜそう聴こえたのだろう。ペダルをあまり使っていないから?控えめな響きの中で丁寧にグラデーションのように強弱を調整している。

90-3は好きなピアニストの演奏映像を見てから、それがわたしの頭の中でデフォルトになっているのだけど、ピエモンテージの演奏もステキだ。というか、わたしの好きなピアニストの解釈と似ているように思った。溜め具合が好き。やりすぎず、でも印象的で。一方で、わたしの好きなピアニストは、あの左手の部分をもっとゾクゾク不気味に美しく鳴らしていたなぁと思ったり。(分かる人には分かるのだろうけど、意味不明だったらスルーしてね。)

 

休憩時間の間、動画では音声インタビューの一部が流れる。インタビューの全編はウィグモア・ホールのホームページで公開されている。

ピエモンテージのインタビューの内容は・・・

  • 全6回のシューベルトサイクルのうちの第1回である今回のプログラムについて
    → 交響曲のスケッチような大規模ソナタに、バランスを考えてソナタより「軽い」作品である最初の即興曲を組み合わせてみた。まず即興曲を聴いて、ソナタに向けて準備してもらうという意味でも上手くいっている。
  • ピアノソナタはプロのピアニスト向けで即興曲は一般アマチュア向けか?
    → ソナタも即興曲も、シューベルトにとっては「個人の日記」みたいなものだった。オペラや交響曲などの分野では成功を掴めず、絶望的だったシューベルトが見つけた自分を表現する道。
  • ソナタ17番について
    → 温泉地ガスタインで作曲された。シューベルトにとって幸せな時間だった。交響曲やオペラという分野では活躍できなかったが、ピアノ曲などが一般の人々に受け入れられて、作曲家として知られていた。そんな状況をシューベルト本人も喜んでいた。
  • 「即興曲」というタイトルを与えたのは出版社だったが、あなたにとってこの「即興曲」というタイトルはどういう意味を持つのか?
    → もう1つの即興曲の方がよりソナタ的だが、この即興曲にもソナタ的な部分も即興曲的な部分もある。でも、ショパンなど他の作曲家の即興曲とは違う。
  • 友達に囲まれて幸せだったときに、シューベルトは暗い「冬の旅」の後半12曲を書いている。なぜか?
    → ベートーヴェンも自殺を考えるほど落ち込んでいた時期に明るい交響曲第2番を作曲している。作曲時の精神状態は作品に反映されると言うのは、ちょっと無理があるのでは?
  • 地元の音楽祭のディレクターとしての活動
  • 最近の音楽ジャーナリズムについて
    → ジャーナリストはメジャーなCDレーベルの言い成り。レーベルの希望通りに文章を書いている。あるアーティストについて2~3年大騒ぎして、それからもうそのアーティストのことは忘れて別の誰かについて大騒ぎ・・・

 

スズキは音楽の専門家ではない。上記については、勘違いや聞き間違いもあるだろうから、あまり信用してはいけません。

若干インタビュアーとの会話が噛み合っていないような印象もあったり?音楽ジャーナリストであるインタビュアーの前で、最近の音楽ジャーナリズムを堂々と批判してしまうピエモンテージさんに好印象を持ったスズキだった。いいね!

フランチェスコ・ピエモンテージは、わたしがドイツ語の勉強に活用している北ドイツ放送(NDR)のラジオ番組でもインタビューを受けていた。母語はイタリア語で、2番目の言語はフランス語で、その次がドイツ語と言っていたような気がする。彼にとって3つ目の言語であるドイツ語でふつうにインタビューを受ける。というのも、彼はスイスのイタリア語圏出身なので、イタリア語もフランス語もドイツ語もお国の言葉なのだ。ああ、羨ましい。

 

ウィグモア・ホールのライブ動画は他にもいくつか視聴可能。1年ぐらい前から、一部の公演について動画配信を始めたらしい?

さあ、みんなでどんどん再生しよう!


Stephen Hough & Castalian String Quartet - Wigmore Hall


Imogen Cooper 70th Birthday Concert at Wigmore Hall


Dame Sarah Connolly Live from Wigmore Hall

 

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