いつから私たちはアーティストに理想的なポジティブ人間であることを強いるようになったのだろう

シューベルトだって、ベートーヴェンだって、ワーグナーだって、マーラーだって・・・過去の偉大な作曲家たちの多く(ほとんど皆?)は、ネガティブな感情に苦しんだ時期を経験している。

わたしたちは、そんな人間らしい弱いところも含めて作曲家たちを愛している。

一方で、時代が変わった今、なぜアーティストたちは常に前向きなパワーに溢れた人間であることを求められてしまっているのだろうか。

最近の作曲家についてはよく知らないが、演奏家たちの行動を目の当たりにして、思うことがある。

彼ら彼女らは、こんな困難な時期でも希望を持ち、冷静にふるまいながら、ショックを受けているファンを一生懸命なぐさめようと努力する。

そんな対応を、わたしたちファンは当然だと思ってしまう。そして期待してしまう。

本当は、アーティストたちのほうが疲弊しているのかもしれない。

誰にも言えない想いを抱えて家で泣いているかもしれない。

今は平気だけど、この状態が思ったより長く続くことになってしまったら、心身ともに弱り切って倒れてしまうかもしれない。

ファンは、しばらく活動が停止したぐらいで、ファンであることをやめない。

だから、もし疲れているなら、ゆっくり休んでいてもいい。滅多にない休みなのだろうから。臨時サバティカルとして。

気持ちを吐き出してもいい。

弱音を吐いたぐらいで嫌いにならないから!(むしろ、より好きになるかも?)

わたしだって超ネガティブ人間さ!自分のネガティブさを許すと同時に他人のネガティブさにも寛容さ!(スズキが珍しく良いことを言った!)

 

なんてことを思ったのは、お住まいのウィーンで好きなものがあれもこれもクローズとなることについて「こわい。息が詰まる。」と思いっきり素のコメントをしたオペラ歌手アンナ・ネトレプコのインスタグラム投稿を見たからだ。

数百人のファンや同業仲間たちがアンナさんを励まそうとコメントを投稿している。

そうだよね。こわいよね。わかるよ。

スーパースター歌手で、毎日豪快に遊びまくっていても、普通の感覚があって、裏表がない人なのだろう。だからアンナ・ネトレプコは皆から愛される。

www.instagram.com

そう思いながら、他のアーティストたちが心配になってしまった。無理して元気にふるまっている人もいるだろうね。きっと。

 

過去の作曲家たちを思うと、模範的な「良い人」、常にポジティブだった人、というのは少数だったような気がするだけに、アーティストたちは、もっと自分に正直でもいいのではと・・・

そうえいば、最近のアーティストたちは、やたらと模範的な「良い人」で常にポジティブな人だらけだなと思う。我々がそう強要しているのだろうか。そうかもしれない。。

アーティストは最強の精神を持っていないとダメなのだろうか。

たしかに最強の精神はカッコイイし憧れるけど、そうでなくても良いよね。

クラシック音楽に限らず、音楽全般、音楽以外の芸術、それらに関わるアーティスト以外の関係者の皆さんも。また、スポーツなど芸術以外の業界にも言えるだろう。

 

 

 

 

スズキさんは元気かって?

コロちゃんについて語ると長くなるので遠慮しておく。

とりあえず、生きてる。仕事してる。でも、わたしはコロちゃん以前から世の中に希望を見出せない人間だったし、生演奏と旅以外には何も興味ないし、一人でヨーロッパで最高の音楽を鑑賞しているときだけ「生きていて良かった」と感じる人間なのだから、もう・・・

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