旅する音楽好きのスズキは夏にドイツの音楽祭に行けるのか(モノローグ)

悶々と悩んだ末に、今日、ついに7月下旬出発の東京・ヨーロッパ往復航空券を購入した。ただし、言うまでもないが最終的にキャンセルする可能性がある。

旅したい

旅したい

旅したい

もう、スズキは国内旅ではダメなんだ。

どこに行っても日常の延長線上でしかない、感動レベルの低い日本ではなく、何の喜びも感じない日本の日常を、一時とは言え、すっかり忘れさせてくれる遠い遠いところに行きたい。 

旅の計画は精神安定剤なのだ。

でも、結局中止することになるのだろうか。

そのときは、泣いて泣いて涙も枯れて生きる気力など無くなってしまうに違いない。

旅の計画を続行するかどうか、国内外の現在の状況や航空会社のサイトを調べまくって、情報に埋もれて吐き気がしてきた。液晶画面を見ると目がクラクラ回ってしまう。それに、今月や来月の旅を泣く泣くキャンセルした人たちの嘆きなどを知るのも悲しかった。悲しみは人から人に感染するんだな・・・ぐすん。

わたしに相談相手はいない。

旅事情に詳しくて、危機管理意識もあって、旅がわたしにとってどれだけ重要であるか(わたしがどういう人間であるか)ということを踏まえた上で、わたしに助言できる人は、この世に1人もいないのだ。わたしは昔も今もこれからも単独自力で生きていく人間。すべて自分で調べて、考えて、決断するしかないのだ。どんな状況であっても。一方で、1人だからこそ比較的自由に決断できるということを有難く思う。

旅計画のはじまりは、こうだった。

ロンドン旅から戻ったわたしはさっそく次の旅のアイデアを練った。(旅行依存症の人は、帰国次第、さっそく次の旅を計画しないと生きていけないのだ。)

時期は以前からとっくに決まっていた。全然興味ない東京オリンピックを完全に無視して、東京の混雑を避けてヨーロッパで音楽三昧する。オリンピック開催が決定したときに既に決めていたことだった。

行先として、近年わたしを魅了し続けるオペラをたくさん鑑賞できるところが良いと思った。有名なB音楽祭は既に夏のチケット予約を締め切っていた。別の音楽祭Mはちょうどプレオーダーを受け付けていた。よし、これをメインにしよう。旅の後半は北ドイツの友人ご一家のところにお世話になろう。

1月下旬、わたしは音楽祭Mのサイトでプレオーダーの申し込みをした。まだコロナの問題は中国以外では小さなものだった。

2月中旬、「ご希望のチケットをすべて確保しました!」のメール連絡とともに、チケット代がごっそり引き落とされた。ぜ、ぜんぶ取れちゃったのか。オペラ4本、微妙にケチって中程度~安めの値段の座席を選んだのだが、それでも計4万円・・・ もう行くしかないか。感染症はアジアで広がっていたので、夏のヨーロッパでわたしはウィルス扱いされるのかもしれないと若干不安には思ったのだが、その程度ではわたしの計画には影響ない。だけど、なんかちょっと不穏な雲行きを感じずにはいられない。

そして3月、ご存じの通り、いまやコロナ感染の中心地はヨーロッパ。各地で自宅待機が続いており、深刻な状況の国もみられる。

日本が嫌いなわたしでも、いま日本でコロナの影響を受けて苦しんでいる人たちのことはもちろん心配だし、自分自身も今後どうなるか分からない。

一方で、ヨーロッパの現在の状況は、ある意味わたしにとって大きな大きな衝撃となっていることを感じる。ヨーロッパの状況が悪化するにつれ、わたしの憂鬱度、落ち込み具合は深くなっていった。

とりわけ北イタリアは2017年に旅した地域であり、ミラノ宿泊を中心にスカラ座で鑑賞、ヴェネツィアに1泊してフェニーチェ劇場で鑑賞、クレモナやヴェローナも訪問した。

わたしの過去数年の大事な思い出はすべてヨーロッパで繰り広げられたのだった。

心が壊れたとき、ヨーロッパに逃げることが自分にとって最善の処方箋なのに、ヨーロッパに行くことができないというのは、つまり、わたしにとっては死にそうに辛いときに逃げる場所がこの世に1つもないということだ。逃げ場を失ったわたしはどうすればいいのか。

 

7月下旬に起こり得ること(想像・妄想):

■ヨーロッパでさらに状況が悪化し、渡航禁止あるいはそれに近い状態が続く、あるいは

■これから日本で感染がピークとなり、ヨーロッパで日本からの入国が不可となる、あるいは入国時に検疫14日が必要となる

・渡航禁止の場合は、飛行機は航空会社が破綻していない限り、全額払い戻されるだろう。オペラチケットも音楽祭が中止となれば払い戻されると思われる。わたしは友人一家に「ごめん、行けない」と連絡して旅は中止する。

・わたしの損失:オペラチケット代0円(オペラ中止の場合)、4万円(オペラ上演の場合)

 

■ヨーロッパ入国は可能だが、日本帰国時に検疫14日が必要となる

・旅を中止する。たぶん飛行機代は全額払い戻し?

・全額払い戻しではなくても、今回は払戻可の航空券なので手数料のみで払い戻せるはず。

・無理やり旅して、帰国後は14日間在宅勤務。身勝手な行動として勤務先から非難されて、仕事の次の契約更新は無いかも。超不景気の中で職探しなんて避けたいのに。。やはり旅は中止か。

・旅中止の場合のわたしの損失:オペラチケット代4万円+(航空券払戻手数料3万円)

 

■オリンピックが中止・延期

・ 開催に伴う東京の混雑を避けるために、この時期に旅することにしたのに、本末転倒だ・・・

・オリンピックそのものには興味ないが、開催できるかどうか(国内外の状態が落ち着いている)というのは、わたし自身がヨーロッパに旅できるかどうかの指標にもなると思うのだが、オリンピックが流れるなら、わたしも自分の旅を諦めるべきか?

・自分の旅は決行か? ただし、友人宅の滞在は諦める。1人でホテル滞在。できるだけ1人で行動。帰国後も1人。念のため14日間自主検疫として在宅勤務をしよう。誰にも迷惑かからない。でも、やはり身勝手な人間として責められて、次の契約更新は無いかもしれない。コロナ以前、当初は失業しても良いぐらいの気持ちで旅計画を立てたのだが、こんな経済状況なら、できるだけ失業は避けたい。となるとやはり旅は中止か。

・旅中止の場合のわたしの損失:オペラチケット代4万円+(航空券払戻手数料3万円)

 

■ コロナ不況のため航空会社が破綻して飛行機は運休で払戻ゼロ円!?

・そんな場合も有り得るのだろうか。もし、そうなると、わたしの損失はオペラと飛行機を合わせて20万円超。そんなタイミングで不況の影響で失業したら、自分のバカさを呪うしかない。今日、航空券を購入する直前に旅を諦めれば、損失はオペラチケット代4万円で済んだのだから。

・もうしばらく待ってから、航空券の購入をするべきだった?そうかもしれないけど、思い切って購入することで生きる希望を持てるのだよ?儚い希望かもしれないけど・・・

 

恐ろしい。何度もやめようと思いながらエイっと気合いを入れて購入ボタンをクリックした。

その前に、キャンセルした場合はどうなるのか調べまくったのだが、予約自体が複雑で何がなんだか分かりにくい。今でも自分がどこまで正しく理解できているのかどうか分からない。

わたしはこれまで、キャンセル時のことなど考えずに、常に航空会社のサイトで表示される最安値のチケットを買っていた。よくよく考えてみると、それらはキャンセル払戻無しのプランもあったのだろう。何があっても絶対旅行するつもりでいるわたしは、キャンセル不可であっても安いプランを当然選ぶ。でも、現在の状況を考えると、なるほど安いチケットは安いなりのリスクがあったんだと改めて思う。無事に旅行できたのは奇跡だったのか。

そんなわけで、いつもケチって一番安い割引航空券を選ぶのだが、今回はそのような最安プランは画面の選択肢に出てこなかった。最安より1段階上?の割引航空券が表示された。払戻可(手数料3万円)と書かれていたので、支払った額から3万円が差し引かれて戻ってくるはず。

いつまでにキャンセルすれば何割まで戻るのかというのは分からない。どこを見ても、前日、1か月前、2か月前など特に区分されていないので、キャンセルする時期に関わらず出発前なら手数料3万円を差し引いた額が払い戻されると考えて良いのよね?

ホテルにしても、ケチってキャンセル不可・返金不可という最安値プランを予約することが多かった。このプランは予約確定後、1~2週間ぐらいで金額がカードから引き落とされる。それもまた、リスクを伴うプランだったのだと今は思う。本当に、これまで1度も旅プランを変更しなければならない状況に陥らなかったのは幸運だったのだな。

今回は、1か月ぐらい前に前日までキャンセル可のプランを予約しようと思う。まだ時期尚早。

 

この夏、イタリア、ヴェローナの野外オペラに行く予定の人々はどうしているのだろう。既に旅をキャンセルしたか、まだ希望を持って状況を見守っているか。ヨーロッパの他の音楽祭を目指している人々はどうしているのだろう。

 

日本で生きる日常が大嫌いなわたしは旅を来年まで我慢しなければならない状況になったら、もう死ぬしかない。

平凡な日常が一番好きだという人間が一番この世で強いのだ。

まったく羨ましい。

わたしは平凡な日常にまったく興味を持てない。

いまは、この日本で生きる普通の毎日を幸せと思えるように努力しなければならないとき。

なのだろうけど・・・

 

無理だ。絶対無理だ。

この社会の空気が大嫌い。この社会の同調圧力、他人への攻撃性、幼稚さ、下品さ、面白味の無さ。日本人の生き方、暮らし方、働き方、人との関わり方、何もかも嫌い。未来に希望の無い国。自分の不安定な仕事、自分や実家の経済面の不安やわたしが背負う義務。

こんなに現状が嫌いなのに、受け入れられるはずない。ああ、イゾルデが持ってたあの死のお薬をわたしにください。(がんばって予習した4月初「トリスタンとイゾルデ」は中止。涙)

 

こら、スズキ。早まってはいけない。まだ今後の状況はわからない。

無駄になるかもしれないがオペラの予習を開始している。引き続きがんばれ自分。 

 

というわけで、今後の展開と報告をお楽しみに。

 

旅が中止になってますます暗く塞ぎ込むスズキに対して「ざまあみろ」という気持ちを持っても、どうか抑えて黙ってスルーしていただければと思う。

 

 

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