初めてのオペラ生鑑賞 計画&事前準備のガイド

(2020年2月作成)

オペラは徹底的に予習する

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あなたは、オペラを映画のようなものだと思っていないだろうか。つまり、ストーリーや結末など内容は劇場に行ってからのお楽しみだと思っている。事前に「予習」して内容を知ってしまうなんて、もったいないと思っていたり? 

違うのです!!

予習無しでオペラを観ると、どのような問題が発生するか、教えてあげよう。

  • 外国語の歌の内容を聞き取れない。
  • 字幕に集中しすぎて音楽や演技を楽しむ余裕がない。
  • 必死に字幕を読んでいるのに、内容についていけない(笑)
  • 内容についていけてないのに、長すぎてなかなか終わらなくて苦痛(笑)

ほらね!残念な結果になってしまうでしょ?

それでは、オペラ劇場に行く前にウィキペディアか何かで「あらすじ」を読もう。それで準備完了?!

いえいえ、それだけでは不十分。理由は以下の通り。

  • 日本人にとってあまり馴染みのない題材ばかりなので「あらすじ」を読むだけでは理解できない。
  • つまり、ヨーロッパの神話、宗教、哲学、文学、歴史、伝説などを取り扱っている。
  • 「あらすじ」は要約に過ぎない。上演2~4時間のオペラの内容をすべて網羅しているわけではない。
  • 「あらすじ」を読んだだけでは、登場人物の名前さえ覚えられないこともある。
  • たとえば、登場人物が多い、似たような名前ばかりなど。
  • そのオペラ上演が、原作と大きくかけ離れた演出(後述)の場合は、せっかく「あらすじ」を読んだのに、目の前の景色が全然違うので、相変わらず意味不明のまま鑑賞することになってしまう。

オペラを鑑賞するときは予習が大事であることがお分かりいただけただろうか。

 

「何にも知らなくてOK!
来てくれるだけで良い!」
  なんて
信じない

オペラ関係者の皆さんが「来るだけで良い」と叫ぶ理由はこうだろう。

  • 1枚でも多くチケットを売りたい。(そりゃそうだろうけど)
  • 既にオペラの世界にどっぷり魅了されているので、一般の人の感覚を理解できない。
  • 自分たちの作品に自信がある。(それは、良いことなのだけどね・・・)

 

その言葉を受けて、何も分からないままオペラを観に行ったアナタの感想はきっとこうなる。

「よくわからなかったけど、
なんだか凄かった!」
  (そんな感想、もったいない・・・)

 

それで十分だと思うなら、何も知らないままオペラを観に行っても良い。このページの残りの部分を読む必要はない。

でもね、せっかく数千円から数万円ぐらい支払って観に行くのに、この程度の感想で、アナタは満足かい?

歌手などオペラに関わっている人々が人生をかけて取り組んでいる大規模な公演を目の当たりにするのに、こんな気の抜けた感想しか持てないなんて、残念な気分にならないのかい?

せっかく行くなら、お値段以上の興奮を味わいたいと思わないのかい?

舞台に関わった人々の情熱と熱気を感じたいと思わないのかい?

 

さあ!こっちにおいで!

オペラのお勉強をしよう!

自分に合う目標と予習手段を選ぶと良いだろう。例としていくつか挙げておく。

  • CD・DVD・YouTubeなどを鑑賞する。
  • 対訳リブレット(台本) を読む。ボランティア翻訳者による日本語版など、ネット上に無料で公開されているものもある。
  • 対訳リブレットを読みながら音楽を再生する。
  • 耳に残る音楽を「ららら~♪」と鼻歌で歌えるようにする。
  • できれば全体的に「ららら~♪」と鼻歌で歌えるようにする。
  • さらにできれば、オリジナル言語で歌えるようにする。
  • 複数のCD・DVD・YouTubeなどを鑑賞して、演出の違いや歌手の特徴を分析する。
  • 楽譜を見ながら音楽を再生する。著作権切れの楽譜はネット上に無料で公開されている。
  • ボーカルスコア(歌手の練習用の楽譜、ピアノ伴奏)を入手してピアノで弾いてみる。これも著作権切れの楽譜ならネット上に無料で公開されている。
  • その作品に関連する本・資料を読む。
  • 作曲家について深く調べる。

 

【オペラ作品予習内容を含む記事 】

www.music-szk.com

www.music-szk.com

  

 

オペラと外国語

オペラは、ミュージカルとは違い、世界のどこでも基本的に原語で歌われる。 つまり、イタリア語のオペラはイタリア語で、ドイツ語のオペラはドイツ語で歌う。(むかし、字幕がなかった頃は上演場所の言語で歌われることも結構あったらしい。)

上演中は舞台の脇に字幕が表示されるのだが、前述のとおり、字幕を読むことに集中していると音楽や演技、舞台の様子を見逃がしてしまう。字幕を見なくてもそこそこ内容がわかる状態であることが望ましい。

どうすれば字幕なしで楽しめるか。

まずはその言語をサラっと学んでみよう。

怖くないわよ!

語学大好き人間は徹底的にその言語を習得してしまおう。今後のオペラ鑑賞人生で大いに役に立つ。

そこまで語学得意ではないけど、オペラのためにある程度わかるようになりたいという場合は、それほど必死になる必要はない。学習のポイントはこちら。

  • 初級文法の本を一読しよう。
  • 基礎的な単語を覚えよう。
  • 発音のルールを理解しよう。
  • 動詞、形容詞、名詞、冠詞・・・など、単語を分類できるようになろう。
  • 動詞の活用などを正確に覚える必要はない。でも、現在形、過去形、意向や希望を表す文、否定形、疑問文・・・などを見分けられるようになろう。

学習期間の目安は3か月。

これだけ学習すれば、オペラの対訳(原語と日本語訳)を見ながら、鑑賞することを楽しめる。どの単語がどの日本語に置き換えられているか、ある程度まで把握することができる。対訳を見ながらオリジナル言語で歌うことも可能だろう。オペラの予習が一気に楽しくなる。

その勢いでイタリア語、ドイツ語、フランス語のオペラ鑑賞用の基礎学習を完了してしまおう。余裕があったらロシア語とチェコ語もオススメする。

 

【ご参考】

www.music-szk.com

 

 

オペラのチケットを買う

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実際にオペラのチケットを買うときの参考情報を以下に記述する。

オペラの上演形式には次の2つがある。

 

舞台上演されるオペラ

(いわゆる通常のオペラ、ステージオペラ、フルステージオペラ)

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良い点

  • 視覚的に楽しめる
  • ストーリーも比較的伝わりやすい
  • 演出(後述)を楽しめる

ちょっと残念な点

  • 比較的チケット代が高い
  • 演出が自分の好みに合わない場合は、演出を邪魔に感じる
  • 上演の準備、練習に時間、労力、費用がかかる

 

演奏会形式のオペラ

(コンサートオペラ)

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良い点

  • 比較的チケット代が安い
  • 演出がない(あるいは限定的)だから音楽に集中できる
  • 上演の準備、練習、費用の負担が比較的小さい

ちょっと残念な点

  • 演出に興味がある人にとっては物足りない
  • 視覚的な楽しみが少ない。
  • 演出の助けを借りて内容の理解を深めたいときには不向き

また、舞台オペラと演奏会形式オペラの中間として、セミステージオペラという上演形式もある。

 

 

オペラの演出とは

演出は、舞台でオペラを上演するための細かい部分を設定すること。

リブレット(台本)にもある程度、背景や状況などの説明があるのだが、それだけでは舞台を作れない。情報が足りない。

また、歌手たちが各自バラバラにイメージを膨らませて歌や演技に取り組むと、全体としてチグハグになってしまう。

そこで、演出家が登場する。オペラ制作の方向性や具体的な設定を決めるのが演出家の仕事。

演出は時に行き過ぎることもある。

本来のストーリーから大きく離れた演出を「読み替え」と言う。どんなに大きく「読み替え」しても、基本的に歌や管弦楽は原作通り演奏される。

演出はあらゆる可能性を秘めている。

 

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なぜ様々な演出が行われるのか?

わたしはこう考える。

オペラが作曲された時代の聴衆と、現代を生きる我々は、知識も感覚も違う。作曲家が伝えたかったことを、より正確に伝えるため、あるいは、より強いインパクトをお客さんに与えるため、工夫を凝らした結果として、様々な演出がなされてきたのだと思う。

オペラはいずれも大規模な作品。

作曲家たちが人生をかけて必死に作り上げたもの。なぜそこまで真剣だったのか?

オペラには強力なパワーがあるから。

社会の矛盾や人生の苦しさなど、複雑で重苦しいものを、オペラは表現できるから。

 

多くの人は、クラシック音楽は気軽に楽しく聴くものだと思っている。もちろん気軽に楽しむ作品もある。でも、オペラ作曲家は「気軽に」というよりは「真剣に」鑑賞して欲しいと思っていたはず。

そんな作曲家の熱い魂の宿る作品を、ただ耳に心地良いだけのものではなく、作曲家が望んだインパクトを与えられるものにするために、演出家は想像力と発想力でオペラを演出していく。

オペラはただのエンタメではない。

我々人間は、一体これからどうやって生きていけばいいのか。自分とは誰なのか。何が良いことで、何が悪いことなのか。世の中には簡単に答えの出ない問題が溢れている。この世は矛盾している。そんな中、人々に疑問を投げかけたり、何かを感じさせたり、考えさせたりする。強力な音楽のパワーで、そういうきっかけを与える。それがオペラである。

さあ、さあ、オペラの世界にいらっしゃい。

 

時に、演出家は度を超えて演出してしまう。

行き過ぎた演出に閉口する人もいる一方で、オペラ鑑賞で一番楽しみなのは演出の部分だと言う人もいる。

作品の音楽の部分を純粋に楽しむなら演奏会形式のオペラを鑑賞するのが良いと考える人もいる。

アナタはどう思うだろうか。

 

 

オペラのチケット代は?

わたし自身の経験に基づく感覚を挙げておく。東京でオペラを鑑賞する場合の値段。

チケット販売開始直後の争奪戦に参加

 → 4,000円台~

それ以外

 → 10,000円前後

上記はチケット代の例である。チケット価格は上演により大きく異なる。欧米の有名オペラハウスの東京公演はかなり高額。そんなときは最安席は一瞬で完売する。日本国内のプロダクションなら比較的安い。国内オーケストラの演奏会形式オペラならかなり安く鑑賞できることもある。一方、演奏会形式でも歌手陣が豪華だと結構高い値段設定となる。

 

オススメのオペラ上演

適宜更新予定。近日発売あるいは現在発売中のオペラの中から、スズキがオススメするオペラをここに掲載する。

 

2020年4月
新国立劇場(新宿初台)
「ホフマン物語」オッフェンバック作曲

失恋ばかりの残念な詩人ホフマンの3つの失恋ストーリー(笑) わたしはダメダメな男など嫌いなのだが、この作品は好きなのだ。ネジマキ人形に一目惚れしちゃった哀れな男、かわいらしいネジマキ人形のオランピアちゃん、恋人ホフマンより音楽に夢中の女性アントニア・・・

>>>チケットぴあで「ホフマン物語」の残席を確認 icon

 

2020年5月 
新国立劇場(新宿初台)
「サロメ」リヒャルト・シュトラウス作曲

グロテスクな作品がお好きなら、ぜひこちらを。音楽も刺激的で美しい。19世紀の劇作家オスカー・ワイルドの戯曲が原作。美しい男ヨカナーンの首を持ってうっとりする少女サロメ、あるいは銀皿に乗ったヨカナーンの首などは絵画の世界でもお馴染み。わたしにとっては人生で出会った2作目のオペラ作品だった。(わたしの初オペラは「ラ・ボエーム」)。

>>>チケットぴあで「サロメ」の残席を確認 icon

 

 

一緒に行く人がいない場合

全然問題ない。一人で行こう。

東京のクラシック音楽シーンでは「お一人様」はかなり多い。

地方では違うのかもしれないけど。

東京出張あるいは東京一人旅などでオペラに行くなんてどうだろう。ステキだと思う。

 

当日の服装

日本で鑑賞するなら、それほど気合を入れなくてもOK。

特に安い席だと、比較的みなさんカジュアル。

でも気分的にオシャレを楽しみたいなら遠慮なく堂々とドレスアップしても良いだろう。他のクラシック音楽コンサート(オーケストラ等)と比べると、オペラはオシャレを楽しんでいる人が多いように思う。

 

休憩時間

オペラの休憩時間は通常のクラシック音楽コンサートより少し長め。つまり、15分や20分ではなく、25分とか30分。1回の上演で2回休憩があるということも。

施設内を散歩しよう。

わたしは、気分が盛り上がったときは休憩時間にグラスワインを飲む。1杯500円~700円ぐらい。

日本ならホワイエで自分で持ち込んだものを飲んだり食べたりすることも可能。

スマホをいじっている人、読書している人、イヤホンで音楽を聴いている人、過ごし方はそれぞれ。

少なくとも東京では一人だと浮いてしまうという感じはない。

 

 

オペラを生鑑賞する前に

映画館で体験してみる

劇場での生鑑賞より気軽に楽しめる。ただし、通常の映画より高い(2020年2月現在 3,700円)ので、生鑑賞時と同様に、きちんと予習して、お値段以上に楽しむと良いだろう。

 

ニューヨークメトロポリタン歌劇場(MET)で上演された作品の録画を全国の松竹系シアターで鑑賞できる。

www.shochiku.co.jp

ロンドンロイヤル・オペラハウスで上演された作品の録画は全国のTOHO系シアターで鑑賞できる。

tohotowa.co.jp

 

2019年、スズキは映画館でプーランク作曲のオペラを楽しんだ。

www.music-szk.com

 

 

いつかヨーロッパでオペラを鑑賞

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きっと実現できるさ!

スズキブログのヨーロッパ旅の記事をご参考にどうぞ。 

www.music-szk.com

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